さまざまな要因で推移するマンションの価格|その原因と特徴とは



さまざまな要因で推移するマンションの価格|その原因と特徴とは

マンションの購入を考えている人も売却を考えている人も、気になるのはマンションの価格の推移ではないでしょうか。

マンションを含む不動産には定価がありません。経済状況や市場での需要などの影響を受けながら、日々価格が変動しています。

ここでは、マンションの価格に影響があるとされている今後のイベントや、価格の下がりにくいマンションの特徴などを解説します。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

この記事の監修者プロフィール
台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。  日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

マンションの下落が懸念されている2020年問題

マンションの下落が懸念されている2020年問題

マンションの価格は2020年を契機に下落する可能性があると懸念されています。いわゆる2020年問題と呼ばれるものですが、どのような要因で下落すると言われているのか、今後のマンション価格推移を考える際に避けて通ることができない、この2020年問題について、まず考えてみましょう。

東京オリンピック後のマンション価格の下落

2020年夏に東京オリンピックが開催されますが、マンションの価格は、オリンピックなどの世界的なイベントにも大きく影響されます。

実際にオリンピックの開催が決定した際、それまでほとんど横ばいで推移していた日本のマンション価格が上昇に転じています。

これは、オリンピックに向けて特に首都圏では建築ラッシュが始まったことで、不動産業界全体の人件費や資材の価格が高騰したことが1つの要因です。人件費や材料費の価格が上がることは、マンション価格が上昇することにもつながります。

オリンピック終了後は、建築需要が一旦落ちつくことが予想されるため、オリンピック前のような高い水準のマンション価格は維持されなくなると予想されます。

また、東京オリンピックでは、東京の晴海地区に選手村を建設しています。選手村はオリンピック終了後の2022年ごろの入居を目安に一般向けに供給されます。

この選手村の跡地にマンションとして供給される「晴海フラッグ」は、2019年よりすでに売却活動が始まっています。マンションの規模は5,600戸、収容人数は12,000人ですが、周辺相場よりも安い価格で売り出されています。

これにより、マンション市場に手頃な価格で多くの部屋が出回ることになり、これまでと需要と供給のバランスが変わるため、マンション全体の平均価格を押し下げる一つの要因になるとされています。

投資家がマンションを手放す

マンションの購入者は、自宅として購入する人だけではありません。売却益や家賃収入を狙う投資家も購入します。特に都心のマンションは、日本の投資家だけではなくアジアの富裕層などを中心とした海外の投資家が購入しているケースが目立ちます。

夏のオリンピックの開催国は、ほとんどの場合、開催前に経済成長の傾向が見られ、開催後に景気が悪くなるというデータがあります。海外の投資家も、当然オリンピック開催前後の景気の動きを踏まえた上で、マンションの売却時期を見極めています。

東京オリンピックが開催される2020年を目安に、海外の投資家たちが一斉に投資していたマンションを手放したり、購入を控えたりする可能性があります。マンションの売却が増えて市場に多く空き部屋が出回ることで、マンションの平均価格が下がっていくことが考えられるのです。

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都市部の農地が関係している2022年問題

都市部の農地が関係している2022年問題

不動産価格に影響が出るとされる2つ目の問題として、「2022年問題」をご紹介します。2022年問題とは、首都圏の生産緑地に関する問題です。

2020年の東京オリンピックと同様に、生産緑地の問題もマンション価格などに影響を与える可能性が高いとされ、注目が集まっています。

生産緑地の指定解除で農地が変わる

生産緑地とは?

2022年に、多くの生産緑地の指定が解除されることになります。では、生産緑地とはどういったもので、不動産市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

生産緑地とは

生産緑地とは、市街化区域内の農地で、農業を営むことを条件に固定資産税などの税金の優遇を受けることができる土地で、生産緑地法によって定められています。1970年ごろの人口増加により、東京を中心に都市化が進んだことから急激に緑が減ってしまったことが社会問題となり、都市環境を整えることを目的としてできた法律が生産緑地法です。

全国で生産緑地に指定されている土地の面積を合計すると東京ドーム2,000個以上となるとされていますが、東京・大阪・愛知を中心とした3大都市圏に集中して存在しています。

2022年で生産緑地の期限が切れる

生産緑地は、農業を営むことを条件として、30年間という期限付きで税制上の優遇を受けてきました。

生産緑地法は1992年に改正され、30年が経過した2022年に営農義務と税制優遇の期限が切れることになりました。その土地で農業を続けてきた農家が、これまで30年近く受けていた恩恵を受けることができなくなってしまうのです。

農地を手放す人が増える可能性がある

ただでさえ農業を生業とする人の高齢化や人口の減少が問題になっている中、生産緑地の指定が解除され、税制上の優遇がなくなると、農地を手放す人が出てくることが容易に予想できます。

30年が経過すると、生産緑地の所有者は市町村に対して買取りの申し出をすることが可能になります。買取の申し出があった場合、市町村が買い取らなければ他の農業者に土地を斡旋しますが、これがうまくいかない場合には、土地は生産緑地の制限を解除されます。

実際には、市町村が別の農業者が土地を買い取る可能性は低く、多くの生産緑地は宅地に転用されることになるでしょう。

生産緑地は大都市圏に集中しています。都市圏で土地が大量に出回ってしまうと供給過多になり、土地価格が下落することが予想されます。土地価格の下落はマンションを含めた不動産全体の価格下落につながります。

このように生産緑地制度が要因の2022年問題も、マンションの価格推移に影響を与える可能性があるために注意しておく必要があります。

特定生産緑地制度で10年間の猶予

生産緑地の問題に対処するため、2019年4月に「特定生産緑地制度」が制定されました。この特定生産緑地制度は、生産緑地の所有者の意向があれば、市町村が生産緑地を特定生産緑地として指定できます。

定生産緑地制度の継続は10年までとされていますが、この制度を使うことで問題自体が解決されるわけではないため、問題が先延ばしされているだけだとも言われています。

総人口の減少が関係する2025年問題

総人口の減少が関係する2025年問題

日本社会は、高齢化に加えて人口減少という大きな問題を抱えています。

人口の減少は国力の低下を招き、不動産市場にも大きな影響を及ぼします。マンション価格に高齢化や人口の減少による問題が反映され始めるのが2025年頃だと言われています。

2025年問題とは

2025年問題とは

ご存知の通り、日本は世界の中でも類を見ない高齢社会に突入しています。高齢者が増えるということは働く世代の割合が減少し、国全体の生産力が低下することが予想されます。

さらに高齢化と併せて少子化も問題になっています。少子化によって現役の世代が減ってきているため、高齢者を支えることがますます大変になるという見通しです。

2025年には、日本人の3割が高齢者になると予想されています。この頃から日本の高齢化・人口減少の問題が不動産市場でも表面化してくるとされています。

団塊の世代が高齢化

団塊の世代とは、第一次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれ、戦後の日本の高度経済成長やバブル時代を経験し活躍した世代を指します。1947~1949の3年間の合計出生数は800万人を超えています。

2025年には、この団塊の世代が後期高齢者となる75歳を迎えます。後期高齢者が増えることで不動産市場に直接影響があるとされるのは、空き家問題です。

2025年頃から、相続などによる空き家がいっそう増える可能性があります。団塊の世代は郊外にマイホームを所有していましたが、現役世代は職場に近い場所に家を構える傾向があります。

親が亡くなったことで郊外にある家や土地を相続しても住まないため、結果として空き家が増えてしまうことになります。空き家が増えると、人口減少も相まって不動産の供給過多となり、不動産価格が下落していく可能性があります。

社会保障の負担が大きくなる

高齢化の進行によって困るのは、空き家が増えることだけではありません。団塊の世代が後期高齢者になることで、社会全体で必要な社会保障費がさらに増え、現役世代への負担が増えることが避けられません。

すでに消費税が10%へと増額しましたが、負担が増えることで現役世代の家計が必然的に圧迫され、消費や投資がしにくくなります。

このような状態になると、不動産購入自体に手を出さない人が少しずつ増え、全体的に不動産市場の価格が下落していく可能性があります。

大阪は高騰の可能性もある

2025年頃にかけてマンション価格の下落につながる可能性があるイベントが続きますが、そのような中でも明るいニュースが1つあります。2025年に大阪での開催が決定した大阪万博です。

大阪万博の開催が決定されたことで、開催地の「夢洲」の整備が進められています。開催までの数年間は東京オリンピックへ向けてのマンション価格高騰のような影響が出る可能性が十分にあります。

この先数年での大阪でのマンション購入や売却を考えている人は、大阪万博の影響を考えてタイミングを考えると良い売買ができるのではないでしょうか。

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価格が下落しにくいマンションの特徴

価格が下落しにくいマンションの特徴

今後控えているイベントや問題を考慮し、マンションの価格の動きを予想して購入や売却を行うことは大切です。

一方で、資産となるマンションを所有したいのであれば、多少の価格変動があっても価値が落ちにくいマンションを選んで購入することをおすすめします。

ここからは、価格が下落しにくいマンションの特徴をご紹介します。

最寄り駅までの距離が近い

価格が下がりにくいマンション=人気の高いマンションと言い換えることができます。

都市部の30代以下の現役世代は車を持たない人が増えています。メインの移動手段は電車となるため、駅からの距離が近いマンションに人気が集中しています。そのため、最寄駅までの距離が近いマンションは価値が下がりにくいです。

駅から徒歩1分離れるごとに中古マンション価格は値下がりしていき、駅から7分を境に需要が大幅に減るとされています。

駅から近いマンションの中でも、複数の路線が集まるターミナル駅を最寄とするマンションであれば、特に価格が値崩れしにくいでしょう。

駅からの近さを重視してマンションを探してみてはいかがでしょうか。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

実際の現場では、10分以上は遠いと感じる方が多いです。ただ、5分以内はなかなか物件がないことから7分というのがひとつの基準になることが多いです。

再開発が進むエリアにある

再開発が進んでいるエリアにあるマンションも狙い目です。交通利便性が良くなる、新しい大型の商業施設ができるなどの再開発が行われているエリアは、町全体の利便性が向上し、ブランド力が向上します。

地域のブランド力が上がるとそこに住みたい人が増え、土地やマンションの価格向上が期待できます。

東京オリンピックや大阪万博に関連する地域、新駅が設置される予定の地域など、再開発が行われているエリアはたくさんあります。

このような場所にマンションを所有することができれば、将来的に資産価値が上がる可能性があります。

人口が増加傾向にあるエリアに建っている

人口が増加すれば必然的に住居の需要も高くなり、マンションの価格が上がっていく傾向があります。

日本全体の人口は減少傾向であることは間違いありませんが、地域によっては今後数十年の間は人口増加が見込めるエリアがあります。

例えば、東京都は2019年時点の人口は約1,385万人で、23年連続で増加しており、今後20年は同水準をキープするとされています。特に都区部の人気が高く、千代田区・中央区・港区に至っては、2040年頃になっても人口が増え続けると予測されています。

予算が許すのであれば、都心などの人口が増加すると予測されているエリアにマンションを所有すれば値崩れを起こしにくいでしょう。

また地方では、ここ数年沖縄県で移住者の増加によって全体の人口増加が確認されており、比例してマンション価格が上がっています。

このような人口が増えている地域を探し、今後数十年の予測を立ててマンション購入を検討してみても面白いでしょう。

立地の良い新築マンション

価格の下がりにくいマンションの特徴の一つとして「質が高い」ということも挙げられます。

質が高いマンションというのは、新築であることや、例えば高級住宅地や有名私立中学が近くにあるなどの「ブランドエリア」にあって立地が良いなど、高付加価値のマンションを指します。

マンションの売却戸数はピーク時よりも減っていますが、売れているマンションの平均価格は上がっています。ブランドエリアにあり、最新の設備がついている高額な新築マンションを購入する富裕層が増えています。

このような質の高いマンションであれば、人口が減少して住宅が供給過多となっても、中古マンションとして人気が落ちないことが予想できます。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

このようなブランドエリアの人気マンションにおいては、ここ数年価格が上昇しています。

管理体制がしっかりしている

マンション自体の管理体制が整っていることも、価値を下げないためには重要なポイントです。

マンションを含め、不動産は年月が経つほど劣化します。劣化が進むとマンションの価値を維持することは困難です。マンションの一部が破損していたらすぐに修繕が行われる、日々の清掃が丁寧に行われているなどの管理体制がとても大切です。

マンションを探す際には、立地や間取りだけではなく、マンションそのものの管理体制がどうなっているのかまでチェックしてみましょう。

管理体制がどのような形態(自主管理、管理会社、など)であるかを確認するには、そのマンションの売却を取り扱っている不動産会社にたずねればわかります。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

管理会社に管理を委託しているのでしたら、エントランスなどに管理先の連絡先(電話番号など)が掲示しているはずですので、そちらでたずねても良いかと思います。

眺めが良い、室内の日当たりが良いなどの好環境のマンション

眺めの良いマンションや日当たりの良いマンションは住んでいて気持ちが良いため、人気が高いです。

マンションから海や富士山、東京タワーなどが見える眺めが良い部屋は人気が落ちにくいと言われています。近くに公園があり、部屋から緑が見える部屋も需要が高いです。

部屋の向きは、日当たりが良い南や東南が特に需要が高く、同じマンション内でも価格が高くなる傾向があります。

価格の推移を見逃さないように情報を集めよう

価格の推移を見逃さないように情報を集めよう

マンションの価格は、市場での需要や日本の経済状況、人口の変動など様々なものに影響されます。

マンションの購入や売却を考えている人は、今後のマンション価格の推移に関する情報を集めて、売買に適切なタイミングを逃さないようにしましょう。

資産となる不動産の購入を検討されているのであれば、ご紹介したような、価格が下がりにくい特徴のマンションを探してみてください。

黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。

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