住宅売却をしたら確定申告も忘れずに!必要性を知って準備しよう



住宅売却をしたら確定申告も忘れずに!必要性を知って準備しよう

3,000万円の特例や損益通算及び繰越控除など、住宅売却時に利用できる特例を調べて「良かった、控除が受けられそう」と安心している方も多いかもしれません。

しかし控除や特例は自動的に適応されず、「確定申告」を行わないと利用できません。

申告をうっかり忘れてしまうと、特例が使えなくなるほか、申告漏れによるペナルティを受ける可能性もあります。

そこでここでは、住宅売却後の確定申告の必要性、やり方や必要な書類、万が一納税が必要なのに納めなかった場合に何が起きるかについて、詳しく解説します。

確定申告の必要性をきちんと理解して、不動産売却後の手続きを完了させましょう。

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住宅売却後の確定申告の必要性について

住宅売却後の確定申告

まずは確定申告の必要性について解説します。

売却益が発生した時は必要

住宅を売却して、実際に売るのにかかった費用や取得費を引いても、売却代金が手元に残る場合は確定申告が必要です。

  • 売却益=課税譲渡所得=売却代金-取得費-諸経費

この「課税譲渡所得」はサラリーマンなど会社から給与をもらっている人の場合、給与所得とは別の所得として計算されます。

したがって課税譲渡所得に対し、売却した住居の所有年数などに応じた所得税や住民税などの支払いが求められます。

納税するには確定申告が必須なため、納税だけすることはできません。

損失が出た場合もおこなう方がよい

住宅売却後、諸経費を引くと損失が出た場合は、税金がかかるお金がないため、税金の支払いは発生しません。

したがって確定申告の義務はありませんが、確定申告をして特例を利用すると、この損失を他の所得と相殺する「損益通算」が行える場合があります。

すると給与所得に対し発生した税金から、損失額を差し引いてもらえるため、損失した分だけ税金を減らせます。

さらに1年分だけでは損失が相殺できない場合、最長で3年間繰り越して税金から損失分を減らしてもらえます。

売却益がなくても確定申告を行って控除の申請をした方が得になる場合があるので、住宅売却後は必ず確定申告するようにしましょう。

住宅売却後の確定申告のやり方について

住宅売却後の確定申告のやり方について

企業に勤めている場合、確定申告は企業が年末調整により手続きを行ってくれるため、する機会はほとんどありません。

しかし住宅売却の場合は、先にも述べたように通常の給与所得とは別会計になるため、自分で手続きが必要です。

確定申告の期間は

確定申告をする期間は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間と決められています。

たとえば2019年に住居を売却したなら、翌年の2020年2月16日から3月15日が所定期間となります。

ただし土日祝日が重なる場合など年によって多少のずれはあるため、税務署や国税庁ホームページで確認しておくと良いでしょう。

確定申告を行う場所は

確定申告を行う場所は、自分で行うか、税の専門家である税理士に依頼するかで2通りに分かれます。

個人で行う場合
  • 税務署で行う
  • 市町村の設けた臨時会場で行う
  • 自宅から電子申告・納税システム(e-tax)を利用する
税理士に依頼する場合 税理士事務所にて手続きをする

個人で行う場合、自分で書類をそろえたり、提出したりと手間と時間はかかりますが手順通り行えば問題はありません。

一方、税理士に依頼する場合は必要書類をそろえて手続きを依頼すれば、後は税理士が全て行ってくれます。

節税対策や利用できる特例についてアドバイスももらえるため「2から3月が繁忙期でどうしても忙しくて時間がない人」や「思ったより高く売れた」場合には検討をおすすめします。

ただし税理士への報酬が5万から10万円ほど発生するため、費用を可能な限り抑えたい方は税務署の無料相談会などを利用し、個人で申告できるよう準備を進めましょう。

確定申告の方法は

確定申告の方法はいくつかありますが、税務署へ記入した必要書類を提出するのが一般的です。

必要書類は年が明けてから最寄りの税務署に行ってもらうほか、国税庁のホームページからダウンロードもできます。

また国税庁のホームページでは簡単に必要書類の記入を済ませ、プリントアウトできる「確定申告書作成コーナー」も用意されています。

下記のように提出方法はいくつもあるため、自分の都合に合うものを選ぶのがおすすめです。

提出方法
  • 最寄りの税務署の窓口へ提出する
  • 最寄りの税務署へ郵送にて提出する
  • 時間外文書収受箱へ投函して提出する
  • 電子申告・納税システム(e-Tax)で提出する

電子申告(e-Tax)の利用方法

電子申告と呼ばれる「e-Tax」なら、スマートフォンやタブレットにも対応しているため、パソコンがない人でも簡単にオンラインで確定申告の手続きを済ませられます。

また1月上旬から確定申告を受け付けているため、より早いタイミングで申告可能です。さらに還付金がある場合、通常の申告より早く還付されます。

ただし事前にいくつか準備すべきものもあり、多少手間がかかります。

以下の表に現行方式と、2019年1月より実施されたマイナンバーカード方式、ID・パスワード方式について、ポイントと必要なものをまとめました。

方法 ポイント 必要なもの
現行方式 今まで行われてきた手続き方法、下記の2つに比べると手間がかかる
  • e-TaxのID・パスワード
  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダライタ
マイナンバーカード方式 マイナンバーカードをすでに持っている人には便利
  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダライタ
ID・パスワード方式 マイナンバーカードが手元にない人にとって便利だが、開始届出書の提出が必須 e-TaxのID・パスワード

e-Taxについてより詳しい情報を知りたい場合は国税庁のホームページからチェックできます。

開始届出書の提出も、同じホームページから行えます。

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住宅売却後の確定申告に必要な書類

住宅売却の確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類は自分で用意する書類と、税務署や国税庁のホームページから入手する書類の2通りがあります。詳しく見ていきましょう。

譲渡所得の内訳書

譲渡した住宅の売却金額、支払った費用を記載する内訳書です。

税務署には登記簿上の持ち主の動きや、土地や建物の取引の事実などが報告されています。

これは売却後に税務署から売主に送られてくるものを使用するか、もしくは国税庁のホームページ、最寄りの税務署より入手した後、記入して確定申告書に貼付しましょう。

売却した住宅の全部事項証明書

全部事項証明書とは、不動産登記簿に掲載されている所有権の移転や抵当権の抹消・設定といった、その物件に関する全経歴が正しいことを証明する書類です。

住宅売却後に最寄りの法務局、もしくはオンラインから交付を依頼し、入手しておきましょう。

注意点として、発行には手数料がかかります。

お得に済ませるならオンラインで請求し、登記所で取得しましょう。ただし登記所にもらいに行くのが難しい場合は、オンラインで請求し郵送してもらうと良いでしょう。

入手方法 必要費用
法務局で直接取得する 1通600円
オンラインで請求し郵送してもらう 1通500円
オンラインで請求し登記所で取得する 1通480円

確定申告書B様式

確定申告書にはA様式とB様式の2種類があり、幅広い対象者をカバーする個人事業用のB様式の利用がおすすめです。

最寄りの税務署の窓口、もしくは国税庁HP「確定申告書作成コーナー」で入手できます。

AとBの違いは、申告する金額や項目の数の違いです。Bで作成すれば、Aの内容のカバーしていますので、迷ったらBでの作成をすすめられるようです。また、不動産の譲渡所得についての申告の場合も、Bで大丈夫です。

分離課税用の申告書

分離課税用の申告書とは、給与所得に対する課税と、不動産の売却額をはじめとする給与所得と分けて課税する税の税額を計算し、納税額の決定を行うために必要な書類です。

こちらも税務署、国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」で入手できます。

売却時の売買契約書

売却時にもらえる売買契約書のコピーを、添付用に用意しましょう。

必ずなくてはならない書類ではありませんが、添付しないと税務署側から問い合わせがくる場合があります。

仲介手数料などの領収書

住宅売却に関する様々な費用の領収書も、まとめてコピーをとって用意しておきましょう。

  • 仲介手数料の領収書
  • 登記にかかった費用
  • 測量図を作成した場合の領収書
  • 固定資産税・都市計画税清算書

上記は、住宅売却に関して発生する様々な費用の領収書の一例です。

このほかにも、その物件によって売却に関わる費用が発生することもあるため、物件に関わる領収書が発行された時はこまめにコピーを取っておきましょう。

住宅売却から確定申告までの流れ

住宅売却~確定申告までの流れ

住宅売却後、まず確定申告に必要な書類がそろったら、確定申告に向けて書類の項目を埋めていきましょう。

課税譲渡所得の算出を行う

実際に税金がかかる所得のことを、課税譲渡所得といいます。

まずは課税譲渡所得を計算するために、以下の式に発生した費用を当てはめましょう。

  • 課税譲渡所得=売却価格-(売却費用+購入費用+取得費用)-特別控除

売却した家が古く、手入れやリフォーム工事を必要とした方もいるのではないでしょうか。ここでポイントとなるのが、購入費用です。

建物は購入してから長期間経てばたつほど、建物自体の価値が下がってしまいます。

そこで購入後の経過年数に応じて、減税の価値に合わせて差し引く額を減価償却費といい、その建物の使用目的によって減価償却費の計算が変わります。

事業に使われていなかった場合(自宅など) 減価償却費相当額=建物の取得費×0.9×償却率×経過年数
事業に使われていた場合 建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の合計

償却率は建物の区分によって、以下の5つに分かれます。

区分 償却率
木造 0.031
木骨モルタル 0.034
(鉄骨)鉄筋コンクリート 0.015
金属造「1」 0.036
金属造「2」 0.025

減価償却費相当額が出たうえで、課税譲渡所得を計算しましょう。

課税譲渡所得がプラスになった場合

課税譲渡所得がプラスになり、税金を支払う必要が出た場合は「その住宅を何年所有していたか」調べましょう。

何故かというと、所有年数によって次のように税率が大幅に変わるためです。

所有年数 区分 所得税 住民税
5年以下 短期譲渡所得 30% 9%
5年超10年以下 長期譲渡所得 15% 5%

なお2037年(令和19年)までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

またこの所有年数は、購入した時点から、売った年の1月1日時点で何年所有していたかで判断します。

たとえば2014年5月1日に購入した物件が、5年超の所有期間と判断されるのは2020年1月1日以降です。

どの特例を利用できるかを確認する

住宅売却に伴う特例は様々で、必要な書類も異なるため、あらかじめどの特例なら使えるか確認しておきましょう。

売却益が出た場合
  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例
売却損が出た場合
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

これらの特例の条件は様々で、物件の状況や前年度の特例の利用によっては使えないこともあります。

そんな時に便利なのが、国税庁のホームページにある「譲渡所得関係のチェックシート」です。

居住用の家屋や敷地を譲渡(売却)した場合や、被相続人の財産を譲渡した場合、居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例など、様々な特例に関するチェックシートが用意されています。

これらはその年の法律に合わせて作成されるため、該当する年度のものを活用し、自分が当てはまるかどうか調べるとよいでしょう。

<b>売却時でしたら、仲介をした不動産会社に尋ねれば教えてくれるとは思いますが、確定申告のために改めて調べ直すのでしたら、税理士や税務署の窓口で相談する方が確実かと思います。不動産会社の担当者がすべて税金に詳しいわけではありませんので。</b>

書類を準備して税務署に提出する

確定申告に必要な書類は、不動産売却時に取得できるものも含まれます。下記の表は必要書類が必要なタイミングと取得別にまとめたものです。

必要なタイミング 書類 取得先
取得時・売却時
  • 売却時の売買契約書(コピー)
  • 仲介手数料などの領収書(コピー)
取引した不動産会社
売却後 売却した住宅の全部事項証明書 法務局
売却から2か月後 戸籍の附票 売却不動産がある市区町村
確定申告前
  • 譲渡所得の内訳書
  • 確定申告書B様式
  • 分離課税用の申告書
税務署
前年末から1月ごろ 源泉徴収票の原本
  • 会社
  • 年金受給者の場合は日本年金機構

必要書類が集まったら、申告書を作成します。完成した申告書は、できれば2月下旬ごろまでに提出した方が良いでしょう。

締め切りぎりぎりの3月中旬になると確定申告を行う人が増えてしまい、相談や受付をしようと思っても待ち時間が発生する可能性が高いからです。

また早めに提出に向かえば、書類に不備があった場合でも余裕をもって対処できます。

時期になると書類の書き方も含め、税務署では税理士や職員による無料相談会などが行われるため、こちらも合わせて活用すると良いでしょう。

住宅売却後の確定申告で支払う税金について

住宅売却後の確定申告で支払う税金について

確定申告をした後、自分で所定の税金を納めなくてはなりません。損失が出た場合は損益通算により還付金が受けられるため、受け取る用意もしておきましょう。

ここでは税金の納付方法や、還付金の受け取り方、納税が難しい場合の対処法について解説します。

納税方法は5種類ある

納税が必要な場合は、5つの方法から選べます。

  • e-Taxによる電子納税
  • 預金口座からの振替納税
  • 金融機関または税務署での現金納付
  • クレジットカードで納付する
  • QRコードを作成しコンビニエンスストアで納付(30万円以下)

振替納税を希望する場合は、事前に預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を金融機関もしくは税務署へ提出しなくてはなりませんが、自動的に支払いが済むため便利です。

またクレジットカードやe-Tax、QRコードを作成してコンビニエンスストアで納付するなら、時間帯も自由に選んで納付できるため便利です。

なお領収書が必須の場合は、金融機関または税務署での現金納付を選びましょう。

損失が出れば還付金が受け取れる

損益通算及び繰越控除により、還付金の受け取りがある場合は次の2通りの方法で受け取れます。

  • 預貯金口座への振り込みによる方法
  • 最寄りのゆうちょ銀行各店舗または郵便局に出向いて直接受け取る方法

確定申告書に「還付される税金の受取場所」という記入欄があるため、希望する振込先を正確に記載し、提出しましょう。

参考:国税庁|納税の方法

納税が厳しいときは延納が可能

納税額的に、2月16日から3月15日までの納税が難しい場合は、延納も可能です。

2月16日から3月15日までに納税額の2分の1以上を納付し、残りを5月31日の期限までに納付すれば問題ありません。

この時、確定申告書に延納の申し出をする欄があるため、忘れずに記載しましょう。

また2月16日から3月15日までに振替納税の手続きをしておくと、4月20日頃に口座引き落としとなるため、納税の用意が間に合わない場合はこちらもおすすめです。

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住宅売却後の確定申告に関する注意点

住宅売却後の確定申告注意点

本当は支払うべき税金があった場合、無視し続けているとペナルティの対象になる可能性が高いです。

万が一納税しなかった場合と、忙しくて自分では確定申告できそうにない場合の対処法について解説します。

期限を過ぎると延滞税が発生する

期限である3月15日を過ぎてから申告してしまうと、いくつかのペナルティが課せられます。

無申告加算税

必要な申告を怠ったことに対するもので、罰金的な意味合いがあります。

本来必要な税額に対し一定の割合が加算されますが、一方で速やかに対処すれば加算される割合が少なくて済みます。

ただし短期間に無申告を繰り返すと加算割合が上昇することもあるため、税務署から税務調査の通知が来たら速やかに対処しましょう。

重加算税

納税すべき譲渡所得があっても、誤魔化や隠ぺいをした場合、税務署から悪質だと判断されることがあります。

この場合、上記の無申告課税に追加される課税です。双方合わさると、原則として40%の加算割合になります。

延滞税

延滞税とは法定納期限の翌日から納付されるまでの日数に応じ、一定の割合で課税されます。

年によって税率が異なりますが、上記の重加算税と無申告加算税に加えて支払うため、日数が延びるごとにますます支払う額が大きくなってしまいます。

税理士に依頼する場合は費用が発生する

もし次のような場合に当てはまる時は、費用は発生しますが税理士に依頼した方がお得になる場合があります。

  • 譲渡損失の損益通算により税の還付が受けられる場合
  • 譲渡所得税の支払いが必要な場合
  • 売却した住宅の税関連が複雑で個人では難しそうな場合
  • 確定申告の時期が繁忙期で自分や家族ではできそうにない場合

簡単に言うと譲渡損失が100万円で給与所得が400万円の場合、譲渡損失を給与所得から差し引くことで、給与所得が300万円だったとして税金を計算してもらえます。

譲渡損失が出た場合、法的には確定申告の義務はありませんが、確定申告をしないと特例を使用できないため税金面でのお得を捨てることになってしまいます。

また譲渡所得税の支払いが必要な場合は、申告漏れがなくなり納税もスムーズに行えるため、ペナルティを回避できます。

確定申告を税理士に依頼する場合、費用は5万円から10万円が相場と言われおり、税理士によって異なります。

事前に確定申告の時期が忙しいと分かっているようであれば、早い時期に相談しておきましょう。

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住宅を売却したら忘れずに確定申告しよう

住宅を売却したら忘れずに確定申告しよう

住宅を売却したら、その売却額や利益に関わらず、確定申告をして少しでも税金面や費用の負担を軽くしましょう。

忘れてしまうと特例が使用できないばかりか、税金を納付せずにいると思わぬペナルティを課せられます。

まずは確定申告に必要となる領収書をコピーしたり、e-Taxを使う場合は今のうちにID・パスワードの取得やマイナンバーカードの用意したり、準備を進めておきましょう。

黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。