土地相続発生時の対処法|必要手続・費用など専門家が徹底解説



土地相続発生時の対処法|必要手続・費用など専門家が徹底解説

急に親の土地を相続することになった場合、どのように進めて良いか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

土地を含む不動産に関する手続きは、個別性が高い上にステップが多く手間がかかります。さらに税金など相続人が支払う費用や準備しなければならない書類も多くあります。そのため、事前に一般的な相続の手続きの手順や費用を確認しておくことが大切です。

この記事では、土地を相続する方法や費用、さらにスムーズな相続のためのポイントと注意点を専門家がまとめています。

この記事の監修者

西崎 洋一/宅地建物取引士

西崎 洋一/宅地建物取引士

宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。 物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に宅建士の新しい活躍のステージ「宅建士.jp」を運営している。

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土地を相続する方法

土地を相続する方法

土地を相続する方法は、相続人(土地を相続する人)の人数や遺言書の有無によって細かく異なります。

土地はお金と違い、単純に分けることが難しい資産です。もし、遺言書がない状況で複数の相続人がいるのであれば、資産が平等になるように相続の仕方を協議する必要があります。

相続人が1人なら単独相続

両親が亡くなり子どもが1人だけの場合など、土地を相続する権利がある人が1人だけの相続を「単独相続」と呼びます。単独相続の場合、名義変更を行う必要があります。

土地はそのまま相続人に継承されることになるため、多くの場合スムーズに相続を進めることができます。

複数の相続人がいる場合は遺言書や協議で決める

複数の相続人がいる場合は、相続の方法を遺言書または協議にて決めることになります。

被相続人の遺言書がある場合には、その内容が優先されます。遺言書の指定する人が相続人になる、または遺言書に従って土地を分けるなどして相続を行います。

遺言書がない場合は、遺産分割協議を行い相続や分割の方法を決定することになります。

土地の分割の方法は、次にご紹介する現物分割、代償分割、換価分割などがあります。あるいは、分割せず複数の相続人で共有名義で所有するという方法もあります。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

遺産分割協議の結果はどのようにして残しておくべきでしょうか?)協議結果は遺産分割協議書に記載し、全員で署名捺印し、大切に保管しましょう。

土地を複数に分ける現物分割

相続対象となる土地を、現物で分割して相続する方法を現物分割と呼びます。

現物分割は、わかりやすく資産を複数の相続人で分けることが可能ですが、土地にある程度の大きさがないと難しい方法です。

分割した後の土地の大きさが活用できるような面積にならない場合は、現物分割で相続しても相続人にメリットがありません。活用しにくい大きさになると、土地自体の価値も下がってしまいます。

広大な土地の相続の場合は現物分割にしてもよいですが、狭い土地の場合は別の方法を検討したほうがよいかもしれません。

一部の相続人が土地を相続する代償分割

代償分割は、一部の相続人だけが実際の土地を相続し、他の相続人に現金で土地代相当のお金を支払う方法です。

親から受け継いだ土地は所有し続けたいが狭く分割が難しい場合などにおすすめです。

また、相続人の中に土地代を現金で相続したい人がいる場合にも有効な方法です。

土地を売却する換価分割

不動産現物での資産の分割が難しいときは、換価分割という方法もあります。換価分割は、土地を売却して得られた代金を複数の相続人で分割する方法です。分割が難しいときは、現金化すると分けやすくなります。

相続する土地が地方にあるなど、相続人が誰もその土地に住めないときなどに有効です。

一方で、土地が売れないとお金に変えることができませんので、土地の売却が成功することが条件になります。

複数の相続人で共有名義にする

土地を複数の相続人で分割するのではなく、土地を共有名義にして所有しておくことも可能です。

この場合、のちに土地を売却することになった場合は、共有名義人全員の同意が必要になるなどの制約があります。

共有名義は時にトラブルの元になることもありますので、よく検討することが大切です。相続人同士が揉めることがない関係性であるならば、検討しても良いでしょう。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

売却せず、相続人通しで金銭のやり取りもしない場合は、共有名義にしておくことになります。また、その土地や建物に思い入れがある、というような場合もそのままにしておきます。

土地を相続するときに行う手続き

土地を相続するときに行う手続き

土地を相続するときには、名義変更(相続登記)の手続きを行わなくてはなりません。名義変更を行わずにそのままにしてしまうと、将来的に様々な問題が発生することがありますので、早い段階で手続きを進めましょう。

また、親が生きているうちに土地を継承する方法を「生前贈与」といいます。生前贈与の方法や必要書類についてもご紹介します。

親が亡くなった場合は土地の名義変更(相続登記)

親から土地を相続する際には、名義変更の手続きを行います。名義変更の手続きを相続登記と言います。土地の名義変更(相続登記)は、亡くなってから何年後までに行わなくてはならないというような期限はありません。

しかし、名義を亡くなった親のままにしておくと、様々な相続問題が発生する可能性がありますので、できるだけ早めに法務局で登記の手続きを行ってしまうことをおすすめします。

次に、土地の名義変更時の必要書類や費用、名義変更をしないで放置した場合のデメリットをご紹介します。

土地の名義変更(相続登記)に必要な書類

土地の名義変更時に必要になる書類は、次の表をご覧ください。相続人に関する書類だけではなく、被相続人に関する書類も必要です。

法務局で取得
  • 土地の登記事項証明書(登記簿謄本)
市町村(役所)にて取得
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人の戸籍謄本(全員分)
  • 相続人の住民票の写し
  • 相続する土地の固定資産評価証明書(最新のもの)
  • 印鑑登録証明書(全員分)
自分で準備をする書類
  • 遺産分割協議書

相続人が複数いる場合には、戸籍謄本や印鑑証明は全員分が必要である点に注意してください。また、遺言書があり、遺言書通りの相続を行う場合には、遺産分割協議書や印鑑登録証明書は準備する必要がありません。

土地の名義変更手続きは必要書類が多く、すべてを揃えるのに手間がかかります。そのため、司法書士に依頼してしまうという手もあります。司法書士に依頼する場合には、上記の表の中の印鑑登録証明書以外の書類を代理で取得を依頼することが可能です。

土地の名義変更(相続登記)にかかる費用

土地の名義変更を行う際、登録免許税の支払いが必要です。

登録免許税は、対象の不動産の固定資産税評価額によって決まり、計算式は次のとおりです。

  登録免許税の計算式:名義変更する土地の固定資産税評価額×0.4

固定資産税評価額は、土地がある市町村(東京23区の場合は都)から送付される固定資産税の課税明細書で確認することができます。

登録免許税の他に土地の名義変更時に必要な費用としては、必要書類の取得費用実費や司法書士に登記を依頼する場合の司法書士への報酬などが挙げられます。

登録免許税の他に必要な費用一覧

名義変更(相続登記)をせずに放置した場合のデメリット

名義変更を先延ばしにしていることで起こり得るデメリットとして、相続登記を申請するときに時間や手間がかかるという点が挙げられます。

例えば親が亡くなった際の相続人が息子だったとしても、時間が経過しその息子が亡くなってしまうと、相続の権利は別の人に移ることになります。数十年経ってから名義変更を行おうとした際、実質の相続人が最初の土地所有者の孫の世代になっているとします。

このような場合、相続に必要な書類が増えてしまいます。さらに、世代が変わったことで相続人自体が増えるなどして、手続きが非常にややこしくなってしまいます。

また、相続した土地を売却する際には、名義変更が行われていなければ売却を行うことができません。その土地に住んでおり実質の土地所有者であっても、所有権の登記がなければ不動産取引を行うことができないのです。

このように、土地の名義変更が長い間行われていない土地は不都合が多いため、場合によっては土地の資産価値が下がってしまうこともあります。

トラブルを避けるためにも、相続が発生した時点できちんと名義変更をしておくことをおすすめします。

名義変更(相続登記)の流れ

土地の名義変更は、一般的に次のように進めていくことになります。

名義変更の流れについて

必要書類を提出する法務局は、対象の不動産を管轄している法務局です。書類に抜け漏れがないか心配なときや手続き方法を悩むときには、法務局にて相談することも可能です。

書類提出後、法務局の審査結果を待ちます。審査には1~2週間ほどかかります。名義変更が完了すると「登記識別情報通知書(権利証)」と「登記完了証」が交付されます。これで土地の名義変更が完了となります。

親が生きている場合は生前贈与

土地を継承するタイミングは、親が亡くなってからだけではなく、生きている間でも可能です。この場合は、相続ではなく「生前贈与」という形になります。

資産がある場合、生前贈与と相続のどちらを選択したほうが良いかはケースバイケースですので、親族間でよく相談してください。

生前贈与は、贈与税がかかる点や、名義変更時の登録免許税が相続の場合は0.4%なのに対し、生前贈与では2%ほどかかる点など、相続よりも出費が大きくなる傾向があります。

しかし、土地の所有者である人が生きているうちに資産を継承すれば、相続人同士の争いやトラブルを防ぐことができるというメリットもあります。

ここでは、生前贈与の流れと必要書類を簡単にご紹介します。

生前贈与の流れ

生前贈与は、一般的に次のように進めていきます。

生前贈与の流れ一覧

はじめに、土地を管轄している法務局で登記事項証明書を取得し、土地の状態を調査しましょう。

登記事項証明書には、所有者に関する情報や土地面積、担保に関することなど土地に関する情報が記載されています。

土地の情報を取得したら、その情報をもとに生前贈与をしたほうがメリットがあるかどうかや、生前贈与を決めた場合も誰にどのように贈与するかなどの検討を行います。

生前贈与の内容が定まったら、贈与契約書を作成し、さらに登記に必要な書類を準備します。

書類を揃えたら、相続時の登記と同様に法務局で登記手続きを行います。生前贈与も相続と同様に名義変更の登記の際に登録免許税がかかりますが、贈与の場合の納付額は「土地の固定資産評価額×2%」の金額となります。相続よりも税率が高いため、お気をつけください。

最後に、贈与を受けた側の人は、翌年の確定申告時期に忘れずに贈与税の申告を行いましょう。

生前贈与の必要書類

生前贈与による名義変更の場合にも多くの書類を準備する必要があります。贈与をする人がそろえる書類、贈与を受ける人がそろえる書類、さらに双方で準備すべき書類は次のとおりです。

贈与をする人
  • 贈与する土地の登記済権利証又は登記識別情報
  • 印鑑登録証明書
  • 固定資産評価証明書
贈与を受ける人
  • 住民票
双方で準備すべき書類
  • 贈与契約書

贈与契約書は、税務署に対しての贈与の証拠にもなる大切な書類です。日付や名前、贈与の事実をしっかりと記載し、自署と実印の押印を忘れないようにしましょう。また、贈与契約書には200円の印紙税がかかりますので、収入印紙を用意して貼り付けます。

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土地の相続した場合にかかる費用

土地の相続した場合にかかる費用

土地を相続する際にかかる費用の代表となるのは税金です。

多額の資産を相続した場合には相続税の支払いが課せられますし、翌年以降は固定資産税の支払いも発生します。また、相続した土地を売却した場合には、また別の税金をしはらなくてはなりません。

土地の相続に関連する税金について代表的なものを4つ解説します。

不動産を相続した人に課せられる相続税

相続税は、相続をしたすべての相続人にかかるわけではありません。被相続人の相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合にのみかかり、相続税がかかるのは全体の5%程度とされています。

相続税の計算方法

相続税を支払う必要があるかどうかを知るためには、まず相続税の基礎控除を知る必要があります。相続税の基礎控除額は次のように計算します。

 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の人数

例えば、相続人の人数が2人の場合、上記の計算式に当てはめると、相続税の基礎控除額は4,200万円となります。そのため、被相続人名義の土地や資産銀行の預金などの財産の合計が4,200万円以下の場合は、相続税がかからないということになります。

つまり、相続税がかかるかどうか、は被相続人の資産が関係するということです。

相続税を引き下げる特例とは

土地の相続時に相続税を引き下げる特例があります。それが、「小規模宅地の特例」です。土地の面積によって一定額が減税される仕組みになっています。

小規模住宅の特例が使える土地3つ

住居として使っていた特定居住用宅地の場合、「面積330平方メートルまで80%減税」となります。

この場合、仮に350平方メートルの土地を相続した場合、330平方メートルまでは相続税が80%減額され、残り20平方メートルは通常通りの税額となります。

相続税の基礎控除額よりも、相続する財産がオーバーしてしまう場合は、小規模住宅の特例を使うことができるか確認してみましょう。

また、小規模住宅の特例は、相続人が配偶者であれば適用されることがほとんどですが、配偶者でない親族の場合は適用に細かい決まりがありますので、自分が該当するかを個別に確認してみましょう。

わかりにくい場合は、税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。

相続人以外が取得した場合は不動産取得税

遺言書の指示などによって、相続人以外が土地を取得する場合には、不動産取得税がかかります。土地の固定資産税評価額の3%を納めなくてはなりません。

相続人が相続によって取得した場合は、不動産取得税は不要です。

また、「遺贈」と「死因贈与」では、不動産取得税の扱いが異なります。

遺贈は、遺言によって与える財産の割合と相手を指定することです。内縁の妻や夫、連れ子などの相続権がない親族に財産を残したいときなどに、財産の与え方を意思表示できる仕組みです。

遺贈は、財産を与える遺贈者の一方的な意思表示となるため、指定された受遺者はこれを拒否することができます。

一方、死因贈与は生前に交わす贈与契約です。死亡することを条件に土地を与えることなどを、贈与者の生前に受贈者と相談して合意をとっています。双方の合意の上で契約がある点が遺贈と異なる点です。

遺贈の場合、相続とみなされ不動産取得税は課税されません。一方で死因贈与は相続に含まれないため、不動産所得税を納める必要があります。

財産を与えるという点では同じですが、遺贈と死因贈与では税金の扱いが異なるために注意が必要です。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

ここでいう相続は、「相続人が法定通り相続すること」。いわゆる身内です。遺贈は、身内ではない人に一方的にあげる、というもの。死因贈与は、「私が死んだら上げます。はいもらいます。」という契約です。

相続の翌年から課せられる固定資産税

固定資産税は、不動産を所有している人が支払う税金です。

毎年1月1日時点での所有者に対して、1年分の固定資産税が課せられることになります。4~6月頃に各市町村(23区内は都)から納付書送付とともに通知されます。

相続人は、土地を相続した翌年から固定資産税を支払っていくこととなります。

相続した土地を売却した場合に課せられる譲渡所得税

相続した土地を売却する場合には、さらなる税金の支払いが発生することがあるため注意が必要です。

土地の売却により利益(譲渡所得)が出た場合には、譲渡所得に対し所得税と住民税が課税されることになります。このときの所得税と住民税を併せて「譲渡所得税」と呼びます。

譲渡所得税は、取得費用や各種経費などを差し引いても利益が上回るときにかかる税金です。そのため、相続した土地が値上がりしており、大きな利益がでた場合には、支払いが必要になる可能性が高いため、注意が必要です。

なお、譲渡所得課税は、自分がその土地の所有者になってからの保有期間が5年超なのか以下なのかで税率が変わります。5年を超える長期譲渡所得は、5年以下の短期譲渡所得と比べて税率が約2分の1になります。

土地をスムーズに相続するためのポイント

土地相続の3つのポイント

相続問題はときに親族の間でトラブルを招いてしまうことがあります。トラブルを避けてスムーズに相続を進めるためには、事前の準備や心がけが必要です。

ここでは、土地をスムーズに相続するためのポイントを3つご紹介します。

誰が相続人なのかを把握しておく

親が亡くなったとき、相続人になる人を把握しておきましょう。相続順位は次のようになっています。この表を参考に、相続人となる人が誰なのかを把握しておきましょう。

相続順位

1位 直系卑属(子や孫) 配偶者:2分の1
2位 直系尊属(父母や祖父母) 配偶者:3分の2
3位 兄弟姉妹 配偶者:4分の3

子どもがいる場合は子どもが第1順位の相続人です。配偶者が生きている場合には、配偶者と子どもが相続人となります。子どもがすでに亡くなっている場合などは孫が相続人です。

子供も孫もいない場合には、父母や祖父母に相続の権利が移ります。さらに父母や祖父母も亡くなっている場合は、兄弟姉妹へと権利が移ることになります。

また、被相続人の配偶者が生きている場合には一番右の列のような法定相続分になります。

例えば、被相続人が亡くなったときの相続人が妻と子どもが2人となる場合は、配偶者である妻が相続財産の2分の1、子どもたちが4分の1ずつ相続することになります。

疎遠な相続人にも誠意を持って対応する

兄弟間であまり親交がないケースや、母親が異なる兄弟がいて面識があまりないケースなど、相続人に疎遠な人がいる場合もあります。

このような場合はよりトラブルが発生しやすくなりますので、自分達だけで進めずに必ず相続の権利がある人全員に誠意を持って対応しましょう。

分割協議をトラブルなくスムーズに進めるためには、疎遠な関係でも連絡を取り合って話し合う必要があります。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

疎遠な親戚と連絡が取れない場合、分割協議は行えないです。対処法は、自分でもしくは行政書士・司法書士・探偵などを使って見つけ出すほかありません。見つからない場合は、相続手続きが出来ません。

親が認知症になる前に話し合いをしておく

大切なのは、被相続人になる親が正常な判断ができるうちに、相続問題を話し合っておくことです。親が認知症等になってしまって正常な判断ができなくなると、話し合い自体が難しくなってしまいます。

さらに、親が生きているうちに土地を売って現金化しようとしても、土地所有者である親の売却の意思が確認できなければ進めることが困難です。

身体の調子が悪く寝たきりであっても、正常な判断ができれば売却を進めたり相続の準備をすることができますが、認知症などになってしまうと相続問題が一気に難しくなります。

親が元気なうちに、相続について親族で話し合っておくことがベストです。

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土地を相続するときの注意点

土地相続の3つのポイント

相続は家族にとって大きな問題です。初めて相続を経験する場合には、思わぬところで問題が発生したり、相続後に悩みが出てくることもあります。

納得のいく形で土地を相続するためには、事前に注意点を把握しておくことが大切です。次に相続時に見落としがちな注意点をまとめています。

土地を複数の相続人で共有する生前贈与は避ける

土地を含め、不動産を共有名義で所有するとトラブルが発生しやすくなります。

例えば兄弟間で土地を共有する生前贈与を行った場合、親が生きているうちは良いかもしれませんが、時間の経過とともに各々の状況や関係性が変わらないとは言い切れません。孫の代以降になったときには、さらに複雑になることが予想されます。

複数人での共有にする際には、今後数十年のことを考えた上でよく検討して判断してください。

後から相続の内容や方法を変更するのは難しい

不動産の相続や取引は後からキャンセルすることが難しいという特徴があります。一度、土地の相続手続きを実行してしまうと、後から変えることはできないと考えておきましょう。

例えば、土地を現金化するために売却手続きをしてしまった場合、後でやっぱり売らなければ良かったと思っても再度取得することは難しい場合が多いでしょう。土地の価格は、経済状況などの影響を受けて大きく変動することもありますので、買い戻すことが難しいケースも多いのです。

さらに、一部の相続人が土地を継承し残りの相続人に現金を支払う代償分割を行った場合、後から土地の価格が高騰または下落して財産の分割が不平等になったと感じるケースがあります。

このような場合でも相続の内容や方法を変更することは難しいため、あらゆるリスクや変化などを想定してしっかりと協議をし、関係者がお互いに合意をして相続を行うことが重要です。

分割協議では価格変動のことにも触れる

土地の価格は、日本の経済状況や2020年に行われる国際競技大会などの世界的イベントなど、様々なものに影響されます。価格変動を起こしやすいものということを踏まえた上で相続を進めましょう。

先ほどもご紹介しましたが、相続の時点では平等に分けたつもりでも、価格変動によって損をしたと感じ不満を感じる相続人が出てしまうケースもあります。特に、財産のことで不満を持ってしまうと、親族間や兄弟間の関係性が悪くなってしまう懸念もあります。

このようなことを防ぐため、分割協議の時点で土地の価格変動の可能性を互いに認識して合意しておく必要があります。

土地の相続に関するQ&A

土地の相続に関するQ&A

相続問題は個別性が高く専門知識が必要な場面が多いため、進めていくうちに様々な疑問が発生するでしょう。ここでは、土地の相続時に多くの人がに疑問に思うポイントをQ&A形式にまとめています。

相続した土地が地方にある場合は都内で相続登記ができるのか?

親が地方に持っていた土地を相続することになったが自分は都内に住んでいる、というケースもあるでしょう。このような場合、都内で相続手続きができれば便利だと感じますが、残念ながら都内では手続きができません。

相続登記は、相続対象の土地を管轄する法務局で行う必要があります。そのため、時間を作って土地を管轄する法務局に出向いて対応しなければなりません。ただし、郵送による手続きも可能です。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

郵送によるデメリットは金銭のやり取りや、第三者が入ってくる場合(相続登記後すぐ売買等)など、時間がかかるため契約がまとまらないことがあります。ある平日一日を決めてその日に出向きやりきった方がいいでしょう。

一方、先にもご紹介しましたが、相続登記は多くの書類が必要です。書類に不備があった場合には、何度も法務局に出向く、または何度も郵送でのやり取りをしなくてはなりませんので手間がかかります。

そのため、忙しい人は、はじめから司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続した土地を売却した場合確定申告は必要なのか?

相続した土地を売却した場合、翌年に必ず確定申告を行います。税務署から、自動的に譲渡所得の税金の支払い通知が送られてくることはありません。

土地の売却により利益が出ているのに確定申告をしないで放置してしまうと、後に延滞税が課せられてしまうこともあります。故意に確定申告をしていないとみなされると、最悪の場合、刑事責任を問われてしまうこともありますので、必ず確定申告を行いましょう。

会社員の方などは確定申告に馴染みがない方も多いかもしれません。確定申告の方法がわかりにくい場合には、毎年確定申告の時期近くなると、市町村や税務署で行っている無料相談がありますので、このような機会を利用して相談してみてはいかがでしょうか。

土地の相続登記は自分で行えるのか?

土地の相続登記は、自分で行うこともできます。必要資料を揃えて法務局で手続きをします。

しかし、登記関連の手続きは必要書類が多い上に、書類に記載ミスがあると何度もやり直しすることになるなど、少々手間がかかる手続きです。そのため多くの人は司法書士などの専門家に依頼します。

司法書士報酬は10万円程度必要になりますが、書類の取得から法務局での手続きなどをすべて代行してくれます。印鑑登録証明書を準備することと、必要書類に署名・押印をするだけで、手間がかからずスピーディーに手続きを完了させることができます。

情報を集めて勉強する時間が取れ、書類準備なども苦ではないという人は、自分で相続登記をしても良いでしょう。一方、手間と時間を惜しむなら専門家に依頼することをおすすめします。

土地の相続のことは誰に相談すればいいのか?

土地の相続は専門的な知識が必要な場面が多く、さらに個別性が高いため、一般の人が自分で調べても判断がつかないということも多いでしょう。

自分たちだけで対処ができない場合は、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。相談する専門家はそれぞれ得意分野が異なるので、状況に合わせて探すようにしてください。

例えば、遺言書の作成や遺産分割協議書の作成など、相続全般に関することは法律の専門家である弁護士に相談すると良いでしょう。

また、相続登記については司法書士が専門です。相続によって税金の問題が発生した場合には、税理士が相談先として適しています。

こうした専門家に依頼することで、相続問題のトラブルを極力減らすことにもつながります。費用はかかりますが、家族の一大事である相続時には必要に応じて専門家に相談するようにしましょう。

トラブルを未然に防いで土地をスムーズに相続しよう

トラブルを未然に防いで土地をスムーズに相続しよう

土地の相続に関して、その方法や手続きの流れ注意点などを幅広くご紹介しました。

相続は人生の中でそう何度も経験することではありません。そのため、相続に慣れているという人はいないでしょう。個別性の高い土地の相続をトラブルを避けてスムーズに進めるためには、事前に情報を集めて準備をしておくことや、必要に応じて専門家に相談することが大切です。

家族の大切な資産を継承してくため、被相続人になる親が元気なうちに親族間でしっかりと話し合いをしておきましょう。

西崎洋一 / 宅地建物取引士
西崎洋一 / 宅地建物取引士

宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上。物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。土地の売買、マンション管理に精通。尾坂を中心に宅建士の新しい活躍のステージ「宅建士.jp」を運営している。