【わかりやすく解説】空き家等対策の推進に関する特別措置法

空き家を所有する人に向けて「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が定める内容を分かりやすく解説します。この法律を知ることで、空き家の管理のポイントや何を気をつけなければならないのか理解することができます。また、空き家の上手な活用方法も紹介します。
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【わかりやすく解説】空き家等対策の推進に関する特別措置法

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」は、空き家を放置することによる悪影響を懸念して施行された法律です。空き家の適切な管理について定めています。

現在空き家を所有している、または今後相続などによって所有する人にとって、この法律の内容を理解していないと、大きなトラブルに繋がったり、不利益を被る可能性もあります。

この記事では、空き家を所有する人がどのような対策をすべきなのか、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」について解説していきます。

この記事の監修者

西崎 洋一/宅地建物取引士

西崎 洋一/宅地建物取引士

宅地建物取引士・管理業務主任者・不動産コンサルタント・不動産プロデューサー。不動産業界10年以上の専門家。 物件調査、重説作成・説明などの実務経験が豊富。土地の売買、マンション管理に精通。大阪を中心に宅建士の新しい活躍のステージ「宅建士.jp」を運営している。

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空き家等対策の推進に関する特別措置法の概要

空き家等対策の推進に関する特別措置法の概要

法律の主な内容と趣旨

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」は空き家を適切に管理する目的で2015年(平成27年)5月に施行された法律です。

使われていない空き家を管理せずに放置していると老朽化が進み、火災の原因となったり、地震で倒壊して近隣に被害をもたらすなど様々な悪影響をもたらす危険があります。

こうした空き家による被害を懸念した政府は、より立ち入った指導をするためにこの法律を制定しました。

この法律が施行されたことにより、次のことが可能になりました。

空き家等対策の推進に関する特別措置法で可能になったこと

空き家の定義

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」の2条1項には「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)」と記されています。

つまり、年間を通して人の出入りがなく、水道やガス、電気などを含めてその建物が使用されていないということをもって空き家と判断されるということです。

空き家と判断される家の中でも、倒壊の恐れがある、衛生上有害である、著しく景観を損なっているなどの問題がある建物は「特定空き家」に指定されます。

特定空き家に指定されると、この法律に基づいて市区町村長の命令が及び、状況によっては罰金が科せられたり、行政代執行が行われる場合もあります。

制定された背景と目的

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されるに至った背景について、空き家に関する日本の現状と空き家が抱えるリスクの観点から解説します。

年々増加する空き家

日本では空き家の数が年々増加しており、2019年4月に発表されたデータによれば、864万件もの空き家が全国に存在しています。

さらに2033年には全国の空き家数が2,000万件を上回るという予測もあります。

こうした状況を受け、各地方自治体が空き家に対して合法的に対応できるように、この法律が施行されました。

空き家が抱えるリスク

空き家を適切に管理せず、放置していると近隣に様々な悪影響をもたらす可能性があります。

具体的には次のようなリスクが考えられます。

空き家が抱えるリスク

上記のようなリスクは複合的に発生し、放置される期間が長ければ長いほど危険度は増していくため、古い空き家ほど早期的な対策が必要とされています。

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特定空き家に指定される条件を確認しよう

特定空き家に指定される条件を確認しよう

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」では、『特定空き家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等をいう』と説明されています。

特定空き家と認められるかどうかの判断基準には、空き家のそのものの状態だけでなく、周辺の建物や通行人などが被害を受けるかどうかということも含まれます。

これを踏まえて特定空き家に指定される家の条件をより詳しく解説します。

倒壊などの危険がある状態

「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」にあるかどうかは、次の条件に該当するかどうかで判断されます。

  • 建築物が倒壊等するおそれがある
  • 屋根、外壁等が脱落、飛散等するおそれがある
  • 擁壁が老朽化し危険となるおそれがある

倒壊のリスクについて判断する際は、建物の傾斜と基礎および土台の損傷具合がチェックされます。建物の基礎部分に亀裂や変形が発生しているか、腐食や蟻害による欠損があるかなどを元に総合的に判断します。

また、屋根や外壁等の脱落や飛散のリスクについては、屋根と外壁以外にも門や塀、バルコニーや屋外階段の状態がチェックされます。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

こういった判断は役所が決めます。苦情が複数入ってくるとくに悪質な空き家がどうも指定されているようです。実際に指定されるのはごくわずかです。警告の上、撤去してるそうです。

衛生上有害となる恐れがある状態

次の条件に該当する場合は「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」であると判断されます。

  • 建築物又は設備等の破損等が原因でアスベストの飛散や排水の流出による臭気の発生の可能性がある状態
  • ごみ等の放置、不法投棄が原因で臭気やネズミ、虫等が発生し地域住民の日常生活に支障を及ぼしている状態

アスベストは吸引してしまうと、肺がんなどを引き起こすことがあり、飛散すると非常に危険です。

また、浄化槽のような設備を放置すると汚物が流出したり、臭気が発生するだけでなく、害虫や害獣の発生にも繋がります。

著しく景観を損なっている状態

「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」は、たとえば次のような状態があげられます。

  • 屋根や外壁が落書きや汚物で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている状態
  • 立ち木などが建物の全面を覆うほどに繁茂している状態
  • 敷地内にごみが散乱したまま放置されている状態
  • 看板が原型をとどめず本来の用をなさないほどに破損、汚損したまま放置されている

上記の様な状態のまま放置されていると不法投棄を誘発するなど、状態がさらに悪化してしまう恐れがあります。

また、景観法が定める建築物又は工作物の形態意匠等の制限に著しく適合しないと判断された場合もこれに当てはまります。

その他周辺環境に悪影響を及ぼす状態

「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」に当てはまるとされるのは、たとえば次の様な状態です。

  • 立ち木の枝などがはみ出し、歩行者の通行を妨げている状態
  • 空き家に住み着いた動物の鳴き声が近隣住民の日常生活に支障を及ぼしている状態
  • 動物の糞尿などによる臭気が近隣住民の日常生活に支障を及ぼしている状態
  • 動物の毛や羽毛が大量に飛散し、近隣住民の日常生活に支障を及ぼしている状態
  • シロアリなどの害虫や害獣が発生し、近隣住民の日常生活に支障を及ぼしている状態
  • 不特定の者が侵入しやすい状態のまま放置されている状態
  • 落雪が発生し、歩行者の通行を妨げている状態

近隣住民とのトラブルの原因になりやすいのが、立ち木や草に関する問題です。放置していると腐朽、倒壊、枝折れなどが生じる恐れがありますので、しっかり管理する必要があります。

動物が原因のトラブルにも注意が必要です。とくにシロアリは近隣住宅に大きな被害をもたらす可能性があるため、早急に対処する様にしましょう。

また、人の目が届きにくい空き家は犯罪に利用される危険性も高くなります。しっかりと施錠をし、侵入できないように対策してください。

特定空き家に指定されるとどうなるの?

特定空き家に指定されるとどうなるの?

空き家が特定空き家に指定されると具体的にどのような影響があるのか、特定空き家に指定された際に受ける指導や罰則の内容について詳しく解説していきます。

指導や勧告を受ける

特定空き家と判断されると、市区町村長から必要な措置を取るよう助言、指導、勧告、命令を受けることになります。

建物や敷地内の植物によって近隣への影響や危険がある場合は、修繕や除却、木の伐採など近隣の生活環境の保全を図るための対応が明確に示されます。

また市区町村によっては、空き家に関して独自の条例を定めていることがあり、指導・勧告をすることなく、すぐに命令を行うことを規定している場合もあります。

条例の基準が「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が定める基準よりも厳しく設定されている場合には、その条例の命令に関する規定は無効となることが定められています。

固定資産税の優遇が受けられなくなる

指導を受けても状況が改善されない場合には、固定資産税の優遇など住宅特例から除外される勧告を受けることになります。

固定資産税の住宅特例では、家屋があれば土地の固定資産税は更地の場合よりも最大6分の1に優遇する措置となっています。

特定空き家に指定されると、この特例が適用されなくなり、固定資産税が6倍に跳ね上がります。

なお、状況が改善され、勧告と命令が撤回された際には再び特例が適用されます。

刑罰がある場合も

勧告に従わなかった場合、税制上のデメリットに留まらず、罰金などの刑罰を受ける場合もあります。

撤去や修繕などの命令に従わなかった場合には50万円の過料が課されることになっており、さらにそれでも従わない場合には、市区町村の権限で特定空き家等を強制撤去することができます。

このとき、撤去費用は所有者から徴収されることになっています。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

費用負担に応じない場合、電話、手紙、訪問、内容証明、訴訟といった順で請求され続けます。

指定を解除するには

特定空き家に指定された場合でも、指定の要因となった箇所を改善することで、特定空き家から解除されます。

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特定空き家に指定されないようにするには

特定空き家に指定されないようにするには

空き家を特定空き家に指定されないようにするには、放置せずに管理・活用していく必要があります。ここからは、空き家の正しい管理方法や上手な活用方法を紹介して行きます。

空き家の活用法を考えよう

空き家を放置せず、有効活用することで特定空き家になることを防ぐことができます。さらにそれだけでなく、収益を得ることもできるのです。

空き家の活用方法としては、賃貸物件として人に貸し出したり、民泊として活用したり、公共用途を目的に貸し出すといった方法が代表的です。

最適な活用方法は、所有している空き家の状態や目的によって異なります。

空き家にある程度の資産価値があり、収益を上げることを目的とするのであれば、賃貸にしたり、民泊として活用する方法が有効です。

一方で、建物の資産価値が低い場合には、建物を解体して土地として活用する方法がよいでしょう。所有する空き家の現状を考え、最適な活用方法を考えてみてください。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

建物を解体することで隣接の土地とともに大手の不動産会社に売却できる可能性もあります。 また、場所にもよりますが、空き家を解体するだけできれいな土地になり資産価値も上がることも多々あります。

定期的な維持管理が必要

空き家の活用方法が見つからない場合、特定空き家に指定されるのを防ぐには、定期的に管理を行う必要があります。定期的な管理を行うことで、建物や設備の破損、老朽化を防ぎ、敷地内の環境を綺麗に保ちます。

空き家の管理として具体的に次のようなことを行う必要があります。

  • 建物や設備にダメージがないか確認するための定期点検
  • 水道管のサビや排水口からの悪臭を防ぐ定期ための的な通水
  • 室内の湿度を下げるための定期的な換気
  • シロアリなど害虫の予防
  • 室内と敷地内の掃除
  • 庭木や草木の剪定
  • 連絡先を明記した管理看板の設置
  • ポスト内の郵便物の処理

さらに、豪雪地帯であれば、雪下ろしや雪かきをして家の倒壊を防ぐ必要があります。

こうした維持管理は、手間も時間もかかり、自分ですべて行うには負担が大きいと感じる方も多いと思います。

そのような場合には、外部の業者に管理を委託することもできます。業者に依頼する際の費用の相場は月あたり数千円から10,000円程度が相場です。

実際は、不動産会社がやっていることが多いですが、管理だけで経営されている会社もあります。

売却するという方法も

空き家の活用が難しい場合、維持管理には費用も手間もかかるため、売却するという選択肢も視野に入れるとよいでしょう。

空き家を管理し続けるには、管理にかかる費用だけでなく固定資産税など税金による負担も大きくなります。

したがって、今後活用する予定のない空き家は売却を検討することをおすすめします。

また、家の資産価値は経年に伴って下がっていきますので、空き家を高く売却したいのであれば、できるだけ早めに売却するようにしましょう。

空き家の管理や活用について考えよう

空き家の管理や活用について考えよう

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」の内容や空き家の管理についてお伝えしてきました。

この法律は、空き家を取り巻く様々な問題に対処するため、国が定めたもので、この法律によって所有する空き家が「特定空き家」に指定されると、指導や罰則を受けることになります。

特定空き家に指定されないようにするためには、定期的な管理を行うか、賃貸するなどしてうまく活用する必要があります。

西崎 洋一/宅地建物取引士
西崎 洋一/宅地建物取引士

しかし、空き家を維持管理していくには、手間もお金もかかります。そうした負担を無くしたければ、売却という方法を選ぶのも一つの手です。

所有する空き家の状況を考慮して、最適な活用方法を選ぶようにしてください。

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黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。

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