山林売却のために知っておきたいこと|山林の種類と売却の流れ

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農林水産省の外局として設置されている林野庁の調査によると、平成29年3月31日における日本の森林率は67%であることがわかっています。

このうち私有林が約60%を占めています。

この記事では山林を売却する際の相談先や流れ、税金などの費用について紹介していきます。

これから山林の売却を検討している方は、この記事を読んで売却する際に役立ててください。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

この記事の監修者プロフィール
台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。
 日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

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森林の土地の所有者届出制度について

高齢化による空き家問題が深刻化する中、森林所有者の把握が難しくなっているのが現状です。

そこで林野庁は森林の所有者を把握するために、平成24年4月に「森林の土地の所有者届出制度」を制定しました。

この制度は平成23年4月に森林法が改正されたもので、平成24年4月以降は売買や相続などで取得した山林は届出が義務づけられました。

土地や住宅は一般的な不動産と比較すると需要が少ないため、売却しにくいといわれています。

山林の売買が得意な不動産会社に依頼することが大切です。

山林にはいくつかの種類がある

山林にはいくつかの種類がある

一言で山林といっても1種類ではなく、いくつかに区分されています。

どの種類の山林を所有しているかで1平方メートルあたりの相場が変わるため、自分が所有している山林の種類を把握しておきましょう。

種類 特徴 相場(1平方メートルあたり)
都市近郊林地 市街地の近郊にある 約1,000~5,000円
農村林地 農村集落の周辺にある 約300円未満
林業本場林地 主に林業を目的としている 約100円未満
山村奥地林地 最も山奥にある 約100円未満

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

近郊がどこまでなのかとか、そういった基準は実際に曖昧で、感覚的なものがほとんどです。

近郊林地の類似概念として「平地林」というものがあるようですが、そのおおまかな定義として「平地林とは、具体的には標高300m以下で、傾斜15度未満の土地が75%以上をしめる市町村に賦存する森林とする。」とされているようですが、だからと言ってこれがすべて都市近郊林地かというと、必ずしもそうではないように思われます。

相場が高めの都市近郊林地

山林は主に都市近郊林地、農村林地、林業本場林地、山村奥地林地といった4つの種類に区分されています。

このうち都市近郊林地は市街地の近郊にあることが特徴です。

都市近郊林地の1平方メートルあたりの相場は約1,000~5,000円で、4種類のうち最も相場が高めとなっています。

相場が高めである背景には都市部からのアクセスが良く、ニーズが高いことがあげられます。

里山ともいわれる農村林地

農村林地は、農村集落の周辺にあることが特徴です。「里山」と呼ばれることもありますが、山林の中では比較的集落部へのアクセスが良い場所にあります。

1平方メートルあたりの相場はほとんどの場合は300円未満と低く、都市近郊林地と比較すると一気に相場が下がってしまいます。

ただし、近年は農村エリアの宅地化が進んでいるため、ニーズは決して低くはありません。

林業経営が主な林業本場林地

林業本場林地は、主に林業を目的としている山林のことを指しています。

林野庁の調査によると、林業は農業と同様に従事者が減少傾向にあることがわかっています。

そこで林野庁は平成15年から「緑の雇用」と銘打って、若者の林業従事者を育てるプロジェクトを開始しました。

その結果、林業への新規就業者数は増えつつあります。

林業本場林地の1平方メートルあたりの相場は、100円未満と農村林地よりも低くなっています。

山奥にある山村奥地林地

主に4種類に区分された山林のうち、最も山奥にあるのが山村奥地林地です。

山林に向かう道路も整備されていないことも多く、都市部からのアクセスが最も悪いことが特徴です。

このような状況から最も売れにくい山林といわれており、1平方メートルあたりの相場は約100円未満となっています。

ただし、木材の質は高いため、伐採した木材を売却するといった手段も利用できます。

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山林売却の相談先

山林売却の相談先

最初に紹介したように、土地や住宅といった一般の不動産と比較すると山林は売却しにくいといわれています。

そのため、山林の売却を検討した場合は以下のような相談先に売却を依頼するとスムーズです。

相談先 特徴
地元の不動産会社
  • 山林の売買経験がある可能性が高い
  • 購入希望者を把握している可能性がある
  • 山林周辺にある地元の不動産会社を探す
全国にある森林組合
  • 山林をあっせんしている場合がある
  • 全国森林連合会の公式ホームページで検索
民間サイト
  • 山林の売買に特化している
  • 林業の専門家が在籍しているサイトは的確なアドバイスが受けられる

全国にある森林組合

山林を売却する際には、森林組合に相談するのも一つの手です。

森林組合の中には、十分な山林を確保するために山林の買取をあっせんしている場合もあるからです。

森林組合は、都道府県単位で森林組合が設けられており、全国森林連合会の公式ホームページから検索できます。

森林の所有者が組合員になっている森林組合に相談するとスムーズです。

民間サイトを利用する

地元の不動産会社や森林組合の他に、山林の売買に特化した民間サイトの利用もおすすめです。

例えば、山林の売買に特化した民間サイトとして「山いちば」や「山林バンク」があげられます。

「山いちば」は林業の専門家が在籍しているため、売却に至るまでの的確なアドバイスが期待できます。

地元の不動産会社

山林を売却する際の相談先の一つとして、地元の不動産会社があげられます。

売却したい山林周辺にある地元の不動産会社の場合、山林の売買経験がある可能性が考えられるからです。

さらに、山林の購入希望者が、地元の不動産会社に相談に来ている可能性も考えられます。

しかし、不動産会社を依頼する際に、複数社に依頼する方が比較できるため、損しちゃう可能性をできるだけ防げます。

ここでおすすめしたいのは、不動産一括査定サイトです。

一括で複数不動産会社に査定依頼できるため、その中に安心感を感じる会社を選ぶことができます。

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他に不動産一括査定サイトを比較したい方は、こちらの記事をご覧ください。

黄 威翔/宅地建物取引士黄 威翔/宅地建物取引士

まず、一括査定サイトの物件種別を「山林」に設定して、査定を依頼する不動産会社を探す→その条件で査定を依頼できる不動産会社がヒットしなければ、山林がある地域にある不動産会社を探し、直接メールや電話で山林の売却依頼が可能かどうかを問い合わせてみる、という流れがよいと思います。

山林を売却するときの流れ

山林を売却するときの流れ

山林は購入希望者が少ないため、売り出してもなかなか売れない場合も考えられます。

このような状況を考慮し、山林を売却するときの流れをきちんと把握しておきましょう。

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所有地の状況を確認する

山林は一般的な土地と異なり維持管理が難しいため、現在の状況を確認する必要があります。

山林の売却を検討したら、まずは所有する山林の現在の状況を調査します。

山林の樹木の種類や樹齢、道路の整備状況などを登記簿や森林簿を利用して確認します。

森林簿とは、山林の所在地や面積、材積などを記した台帳のことで、各自治体の林務課や林業課で写しを交付してもらえます。

売却方法を決めて契約を結ぶ

所有する山林の現況が把握できたら、次に売却方法を決定します。

山林の売却方法はひとつではなく、山林全てを売却する方法と木材だけ売却する方法が選択できます。

山林の売却は個人でも行えるものの、一般的な不動産と比較して売れにくいことや法的な責任が曖昧になることが懸念されます。

そのため、山林の売買が得意な不動産会社と媒介契約を結んで売却を依頼すると安心です。

不動産会社を探す際には、一度に複数社に査定を依頼できる一括査定サイトがおすすめです。

売却後に引き渡しを行う

不動産会社と媒介契約を結び、山林の購入希望者が現れると売買契約を結びます。

その後は所有権を移転する手続きを行い、何も問題がなければ引き渡しが行われます。

ただし、山林の境界が曖昧な場合は契約までに境界を確定しておく必要があります。

なぜなら山林の境界が曖昧な場合は、後々トラブルに発展する可能性があるからです。

境界を確定する場合は一定の時間とコストがかかるため、境界確定有無を早目に確認しておくと安心です。

売却にかかる費用や税金について

売却にかかる費用や税金について

山林の売却は不動産の売却と同様に仲介手数料などの費用や印紙税などの税金がかかります。また、それ以外にも発生する費用があります。

山林売却にかかる諸費用

山林を売却する際には、不動産会社に対して支払う仲介手数料や印紙税、所有権移転手続きに伴う費用がかかります。

これらは一般的な不動産を売却と同様ですが、山林に限っては以下のような費用が別途かかります。

  • 植林費
  • 育成費
  • 伐採費 など

植林費は、売却する際に新たな植林や苗木を購入した際の費用のことです。

育成費は木材の枝打ちや下草刈り、伐採費は木々の伐採にかかった費用のことです。

これらの費用は税制上で必要経費として認められているため、山林を売却した際にかかる税金から差し引くことができます。

なお、税金については次の項目で詳しく解説していきます。

売却方法で変わる税金

土地や住宅といった一般的な不動産を売却する際に利益が出ると、その利益に対して「譲渡所得税」が課せられます。

山林を売却する場合は、売却方法によって山林所得、事業所得(雑所得)、譲渡所得の3種類に区分されています。

所得の種類 売却方法 特徴
山林所得 木材だけ売却

所有期間が5年超の場合

事業所得(雑所得) 木材だけ売却

所有期間が5年以下の場合

譲渡所得 山林全てを売却
  • 土地部分のみが対象
  • 所有期間に応じて税率が異なる

伐採や立木での売却は山林所得税

山林の売却方法は、木材だけ売却する方法と山林全てを売却する方法が選択できます。

伐採や立木で木材だけ売却する場合、売却で得た利益に対して課せられるのが「山林所得税」です。

(山林所得とは)5年を超えて山林を所有している場合が山林所得税の対象で、所有期間が5年以下の場合は事業所得、または雑所得に区分されます。

土地としての売却時には譲渡所得税

山林すべてを売却する場合は一般的な不動産と同様に、売却で得た利益に対して「譲渡所得税」が課せられます。

ただし、これは山林の土地部分が対象となっています。

山林所得税の仕組みと同様に、山林の所有期間が5年超か5年以下かどうかで税率が異なります。

所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得になります。

譲渡所得税には所得税と住民税が含まれており、平成25年からは東日本大震災の復興再建を目的として復興特別所得税が上乗せされています。

区分 所得税 住民税 合計税率
短期譲渡所得(5年以下) 30.63% 9.0% 39.63%
長期譲渡所得(5年超) 15.315% 5.0% 20.315%

このように山林の所有期間が5年以下の場合は、5年超の場合と比較して税率が高いことがわかります。

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売却に必要な主な書類

売却に必要な主な書類

山林を売却する場合、登記事項証明書をはじめとした様々な書類の準備が必要です。

居住地から遠方の山林を売却する場合は書類の取り寄せなどに時間を要するため、早めに準備してスムーズな売却を目指しましょう。

評価額の参考になる固定資産税通知書

山林は不動産であるため、所有者には固定資産税が課せられます。

毎年1月1日時点の所有者に対して、春ごろを目途に固定資産税の税額を記した固定資産税通知書が郵送されます。

固定資産税は土地の評価額に関係しているため、現在の土地の評価額を算出する際の参考になります。

固定資産税通知書を紛失した場合は通知書自体の再発行はできませんが、各自治体で納付書を再発行してもらえます。

法務局で取得できる登記事項証明書

登記事項証明書は登記簿謄本とも呼ばれていた書類で、土地の地番や地目、地積などが記されています。

従来は紙媒体で保管されていたものの、現在ではデータ管理されています。

取得方法 手数料
法務局の窓口 600円
オンライン請求・郵送 500円
オンライン請求・窓口で受け渡し 480円

登記事項証明書は、法務局の窓口で発行してもらえます。

ただし、発行の際には600円の手数料がかかります。

一方でオンライン請求の場合は手数料が安く、480~500円です。

地質調査総合センターで確認できる地盤図

地盤図とは地下の地質体の分布が記された図表のことで、地質の状況を把握する際に役立ちます。

地盤図は、地質調査や研究を行っている地質調査総合センターの公式ホームページで確認できます。

近年では、全国各地で大規模な地震や災害が多発しているため、地盤の強度への関心が高まっています。

例外を除いて建築基準法でも地盤調査が義務づけられており、地盤調査を怠るとトラブルに発展するリスクがあります。

山林が売却できても、売却後に地盤の問題が発覚するケースも考えられます。

このような場合は売り手が瑕疵(かし)担保責任に問われ、損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。

そのため山林の売却を検討した際には、売却を依頼する不動産会社に相談するなどして、予め地盤の状態を確認しておきましょう。

登記所で取得できる公図

公図とは建物の位置や土地の境界を記した図面のことで、一般的な地図とは異なります。

これは遡ること明治時代から始まっており、現在の正確な位置や境界とは異なる場合があります。

なぜなら明治時代と現在では技術に差があり、当時の技術では正確性に欠けるからです。

公図は法務局や登記所で取得でき、登記事項証明書と同様にオンライン請求もできます。

習得方法は次の3種類があります。

取得方法 手数料
法務局の窓口 450円
オンライン請求・郵送 450円
オンライン請求・窓口で受け渡し 430円

なお、GIS(地図情報システム)の公式ホームページでは公図が閲覧できます。

山林の売却方法を把握してスムーズに進めよう

山林の売却方法を把握してスムーズに進めよう

山林には主に4つの種類があり、自分が所有している山林がどの種類に該当するか把握しておくことが大切です。

さらに山林を売却する際には費用や税金がかかり、税金の種類は売却方法によって異なりますので、それらも確認しておくことをおすすめします。

一般的な不動産を売却する際にも同様のことがいえますが、特に山林を売却する際には、山林の売買経験が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。

必要な書類もいくつかあるため、早目に準備してスムーズな売却を目指しましょう