土地を売るときに発生する税金は?計算方法や控除について解説

土地を売ると税金が発生します。この記事では、土地を売ると発生する税金の種類や計算方法について紹介しているので、土地を売却する予定がある方はぜひ参考にしてください。また、税金を控除できる方法もあります。この記事を読んで節税対策をしましょう。


土地を売るときに発生する税金は?計算方法や控除について解説

土地を売る場合には、利益の有無にかかわらず税金が発生します。どのような税金がいくらくらいかかるのかについて、自分で調べることが可能です。

土地の売買では、場合により高額な税金が発生することがありますが、節税対策を知っておくことで納める税金を少なくすることが可能です。

この記事では、土地を売ったときにかかる税金の種類、税金の計算方法や税金を抑えるコツ、税金に関する注意点を紹介します。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。  日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

土地を売ったときにかかる税金の種類

土地を売って譲渡所得が発生すると、譲渡所得に対して税金がかかります。また、登記変更の際の登録免許税や土地の売買で作成する売買契約書に対して印紙税の支払いも必要です。

それぞれの税金ついて、詳しく解説します。

土地を売ったときにかかる税金の種類

譲渡所得について

資産の譲渡によって生じた所得のことを譲渡所得といいます。資産とは、土地、建物、株式、貴金属、骨とう品、ゴルフ会員権、船舶などです。

ただし、事業用の棚卸資産や山林などの譲渡で生じた所得は譲渡所得には含まれません。

また、譲渡所得は資産の所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2種類に区分されることが特徴です。所有期間が長期か短期かで税率が変わるため、納める税金の金額も変わります。

長期譲渡所得とは

不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に区分されます。

長期譲渡所得の税率は、所得税15%、住民税5%です。

所有期間が5年超になるか5年以下になるかは、土地を売った年の1月1日時点の所有期間で判断します。

短期に区分されると税率が高くなるため、所有期間5年のボーダーラインは重要です。

たとえば、令和元年(2019年)12月31日に土地を売った場合、その土地が平成25年(2013年)12月31日以前に取得している場合は長期に区分され、平成26年(2014年)1月1日以後に取得している場合は短期に区分されます。

短期譲渡所得とは

土地を売った年の1月1日時点の所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所有に区分されます。

その場合の税率は、所得税が30%、住民税が9%です。

長期譲渡所得の場合の税率と比べると、所得税は2倍になり、住民税も2倍近く高くなっています。

あと少しで長期譲渡所得に区分される場合、あせって土地を売ると納める税金の額が高くなってしまうこともあるため、所有期間をよくチェックしてから土地を売るようにしましょう。

もし数日待つことで短期から長期に区分されるなら、数日待ってから売ったほうが節税になります。

売買契約書に対する印紙税

売買契約書に記載のある金額に対して納める税金が印紙税で、契約金額ごとに税率が定められています。

平成26年4月1日から令和2年3月31日までの間に作成された売買契約書は軽減措置の対象となり、その間は納める税額が少ないです。

なお、軽減措置の対象となるのは、契約書に記載されている金額が10万円を超えるものに限ります。

印紙税の本則税率と軽減税率は以下の通りです。

売買契約書に記載のある金額 本則税率 軽減税率
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 10万円 60,000円
5億円超10億円以下 20万円 16万円

2037年までは復興特別所得税がかかる

令和19年(2037年)12月31日までは、復興特別所得税として基準所得税額に2.1%の税金が課せられます。復興特別所得税とは、2011年に起きた東日本大震災の復興費用に充てるために課せられる税金です。

期間限定なので、平成25年(2013年)からはじまり、令和19年(2037年)12月31日を以て終了しますが、その間は支払う必要があります。

土地を売却し、譲渡所得が生じた方は所得税および復興特別所得税の支払いが義務です。また、土地売却による譲渡所得に限らず、給与所得や退職所得などでも課せられるため、最長で25年間復興特別所得税を負担する方もいます。

ただし、土地の売却による譲渡所得に関しては、譲渡所得がマイナスになるケースも多く、さらに3,000万円の特別控除が適用された場合も含めると、譲渡所得がプラスになるケースはほとんどありません。

このことから、復興特別所得税が発生するケースもほとんどないといえるでしょう。

土地を売ったときにかかる譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税額は、計算式を使って自分で算出できます。

譲渡所得税の計算方法を紹介しながら、計算式の内容も解説していきます。

譲渡所得税の計算方法

課税譲渡所得金額を算出する

まず、課税譲渡所得金額を算出します。計算式は次の通りです。

  • 譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額

次に、計算式中の「取得費」と「譲渡費用」について解説します。

取得費とは

売る予定の土地を購入したときの費用や仲介手数料などの合計額が取得費です。相続や贈与などの登記費用、変更の手続きにかかった費用も取得費に含まれます。

相続や贈与の場合は、取得にかかった費用を前の所得者に確認しましょう。取得費が土地の譲渡価格の5%に満たない場合、または取得費が不明な場合は、譲渡価格の5%を取得費として計算することが可能です。

譲渡費用とは

仲介手数料や測量費など、土地を売却するためにかかった費用の合計が譲渡費用です。建物を解体して土地を売った場合の解体費用も含まれます。

上記に限らず土地を売却するためにかかった費用も計上できるので、譲渡費用としてかかった費用の領収書はすべて保管しておきましょう。

税率をかけて税額を算出する

課税譲渡所得金額を算出したら、税率をかけて税額を算出します。計算式にすると以下の通りです。

  • 課税譲渡所得金額×税率=譲渡所得税額

なお、税率は長期譲渡所得、短期譲渡所得で変わります。

いずれの場合でも令和19年(2037年)までは復興特別所得税として、所得税額に2.1%の税金がかかります。

長期譲渡所得の場合の計算例

長期譲渡所得の税率は15%(住民税5%)です。

令和19年(2037年)までは、所得税に2.1%の復興特別所得税がかかるため、復興特別所得税額もあわせて計算する必要があります。まずは課税譲渡所得金額を求めましょう。

例えば譲渡価格=5,000万円、取得費=4,000万円、譲渡費用=200万円だったとします。

  • 5,000万円-(4,000万円+200万円)=800万円
    ※特別控除額の適用はないものとしています。

課税譲渡所得金額を求めたら、税率をかけることで、所得税・復興特別所得税・住民税を求めることが可能です。

所得税 800万円×15%=120万円
復興特別所得税 120万円×2.1%=25,200円
住民税 800万円×5%=40万円

この場合は、3種類の税金をすべてあわせて162万5,200円を納税申告します。

短期譲渡所得の場合の計算例

短期譲渡所得の税率は30%(住民税9%)です。

そして復興特別所得税もかかります。前述と同様に譲渡価格=5,000万円、取得費=4,000万円、譲渡費用=200万円で計算し、課税譲渡所得金額が800万円と算出した場合で各税金の金額を計算してみましょう。

所得税 800万円×30%=240万円
復興特別所得税 240万円×2.1%=50,400円
住民税 800万円×9%=72万円

この場合は、3種類の税金をすべてあわせて317万400円を納税申告します。

長期の場合は162万5,200円だったため、長期か短期かの違いで納める税金の額が大きく変わることがわかりました。

土地を売るときにかかる税金を抑えるには

土地の売買では高額なお金が動き、それにともない納める税金の額も大きくなります。

しかし、特例を適用させて税金を控除できることがあり、適用できれば納税の負担を減らすことが可能です。

税金の軽減措置や特例について、詳しく紹介します。

土地を売るときにかかる税金を抑えるには

3,000万円の特別控除の特例を利用する

自分が住んでいた家や土地を売った場合に適用されます。課税譲渡所得金額を計算するとき、3,000万円控除されます。

譲渡所得が3,000万円未満の場合、課税譲渡所得金額は0円となるため、所得税は発生しません。よって、特例が適用された場合、譲渡所得が3000万円を超える場合でないと所得税がかかりません。

取得費加算の特例を利用する

相続した不動産を売却する場合、相続税額も取得費加算として売却価格から差し引くことができるので、課税対象額を減らすことが可能となります。

計算式で表すと、取得費加算の特例が適用された場合「譲渡価格-(取得費+譲渡費用+相続税額)=課税譲渡所得金額」となります。

この特例を適用させるためには、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却することが条件です。

従来は、所有期間が5年超になると長期譲渡所得に分類されて税負担が軽くなりますが、相続税が発生する場合は5年超まで待つと損をする可能性があります。

なお、取得費加算の特例は、マイホーム売却時の3,000万円特別控除の特例とは併用できません。

土地を売るときの税金に関する注意点

土地を売るときの税金に関する注意点

土地を売るときには、注意点もよく確認しておきましょう。必要書類が足りていないなど、何か不備があると控除が受けられないことがあります。

他にも、注意点や確認しておくことを紹介するので、最後までよくチェックしてから土地の売却手続きを進めましょう。

書類がないと正確な税額が計算できない

控除を受けるためには、確定申告の際に必要な書類を添付する必要があります。必要な書類とは、不動産売買契約書や取得費や譲渡費の詳細がわかる書類です。

これらの書類がすべて揃った状態で、譲渡所得ではから控除できる金額の種類を判断し、控除額および納税額を計算します。書類がないと正確な税額が計算できず、控除を受けられない可能性があるので注意しましょう。

確定申告書用紙は税務署やネット上で入手できます。ただし、特例に関する書類は別途書類を入手する必要があるため、確定申告をするまでに準備をしておきましょう。

場合により用意する書類が異なるため、事前に税務署や税理士に確認することをおすすめします。

毎年1月1日~12月31日までの1年間の所得を、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をします。確定申告の期限を過ぎてしまうと、延滞税などが課せられるため、忘れないようにしましょう。

確定申告については、こちらの記事でより詳しく紹介しています。合わせて読んでみてください。

特例の要件をしっかり確認する

マイホーム売却の3,000万円の特別控除の特例や、取得費加算の特例などを適用させることで、納める税金を抑えることができます。

ただし、特例を適用させるには既定の要件をクリアする必要があります。

たとえば相続した不動産の場合、建物を解体して売却する場合は、相続したときから取壊しのときまで、空き家も土地も他人に貸してはいけないという要件があります。

また、もし売ることが決まっているのに他人に貸してしまった場合、3,000万円特別控除の特例を適用させることはできません。

他にも3,000万円の特別控除と併用できない特例もあるなど、他にも気をつけることがあります。もし特例を適用させても譲渡所得がプラスになる場合、売却を少し待ち所有期間を長くすることで税率が低くなり、節税をするなどの対策もあります。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

適用条件の確認や特例の解釈が難しい場合、または節税対策を考えたい場合は、税務署に問い合わせるか、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

土地を売るときは忘れずに節税対策をしよう

土地を売るときは忘れずに節税対策をしよう

土地を売ったことで譲渡所得が発生した場合は、譲渡所得に対して納める税金があります。 ただし、土地の所有期間が5年超になるか5年以下になるかで税率が変わり、納める税金の額に差が出ます。

5年超であれば税率が低くなり、納める税金の金額が少なくなります。

あと少しで所有期間が5年超になるなら、そこまで待ってから土地を売ったほうが節税になるでしょう。

ただし、特例が適用できる場合は別です。

例えば、取得費加算の特例を適用させるには、土地を相続した翌日以後3年以内に土地を売ることが条件となります。

所有期間が5年超になるまで待った場合、特例が適用できなくなることがあるので注意しましょう。

取得費加算の特例に限らず、3,000万円特別控除の特例にも適用させるための要件があります。

特例が適用できれば、譲渡所得がゼロになる可能性が高く、その場合は譲渡所得税も発生しません。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

特例を適用させることができれば、税負担は大きく減ります。

要件をよく確認したり、確定申告で用意するものをよく確認したりして、節税のためにできる限りのことを行いましょう。

黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。