土地の譲渡にかかる税金|計算方法や節税方法を把握しておこう

土地を売却すると、一時的にまとまった金額が手に入ると考えがちです。しかし、売却を進める中でさまざまな税金がかかります。さらに売却益が出た場合にも税金がかかるため、この記事を読んで売却に必要な税金の種類や金額を把握しておきましょう。


土地の譲渡にかかる税金|計算方法や節税方法を把握しておこう

相続した土地や活用されていない土地を所有している場合、所有しているだけで固定資産税などの維持管理費がかかります。

そのような土地を所有している方の中には、土地を譲渡して税金や維持管理費などから解放されたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

土地の譲渡方法は複数あるものの、どの方法をとっても様々な税金がかかります。

場合によっては高額になる可能性もあるため、税金の種類や金額を譲渡前に把握しておくと安心です。

この記事では、土地を譲渡する際にかかる税金の種類や計算方法について解説していきます。

これから土地の譲渡を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。  日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

土地譲渡とは

譲渡には様々な方法があります。土地の譲渡とは、有償無償を問わず、所有している土地の所有権を移転させる手続きのことです。

たとえば、売却もその一つで、この他には贈与や交換、公売といった方法もあげられます。ここでは売却に限らず、土地を譲渡した際に発生する税金について解説していきます。

土地譲渡した場合にかかる税金とは

土地を譲渡する際には以下のような様々な税金がかかります。

土地の譲渡益がなくてもかかる税金

無償や譲渡益がない場合でも、以下のような税金がかかります。

土地の譲渡益がなくてもかかる税金

土地の名義変更時などにかかる登録免許税

土地を譲渡する場合、所有権移転登記が必要です。この登録免許税は、通常の売買では売り手が負担するのが一般的です。

また、売却代金で住宅ローンを完済する場合は、抵当権抹消登記、買い手が住宅ローンを利用して土地を購入する場合は、抵当権設定の登記がそれぞれ必要になります。

どちらの手続きも登録免許税が課せられ、抵当権抹消登記の場合の税額は不動産1つにつき1,000円です。

ちなみに抵当権設定の登記は、住宅ローンを利用する買い手負担になるのが一般的です。

売買契約書に貼付し納税する印紙税

日本では、印紙税法にもとづいて一定の文書に対して印紙税が課せられる仕組みとなっています。売買契約書もその一つで、売買契約書に収入印紙を貼付して印紙税を納付する仕組みです。

印紙税の税額は、売買契約書に記載された金額に応じて異なり、金額が高くなるほど税額も高くなります。たとえば売買契約書に記載された金額が2,000万円の場合は2万円(軽減税率が適用される場合には1万円)です。

もう一つ例にあげると、売買契約書に記載された金額が6,000万円の場合は6万円(軽減税率が適用される場合には3万円)となります。

ただし、軽減税率が適用されるのは令和2年3月31日までに作成された文書に限られるので注意が必要です。

土地の譲渡益がある場合にかかる税金

土地を売却して譲渡益がある場合、上記で紹介した税金以外にも以下のような税金がかかります。

譲渡所得税の内訳

譲渡所得に課税される所得税と住民税

物件種別にかかわらず、土地や住宅といった不動産を売却して利益が発生した場合、譲渡益に対して譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税は、所得税と住民税から構成されています。

譲渡所得税は、給与など他の所得と合算せず、個別に税額を算出する分離課税方式が用いられています。

土地の所有期間によって税率が異なる

譲渡所得税は、不動産の所有期間によって税率が異なります。

以下のように所有期間5年以下の場合は短期所有、5年超の場合は長期所有となっており、所有期間が5年を超えているかどうかを区切りに譲渡所得の税率が異なります。

  • 短期譲渡所得:39.63%(所得税+住民税+復興特別所得税)
  • 長期譲渡所得:20.315%(同上)

ただし、土地を譲渡した年の1月1日現在の所有期間でカウントするため、カウント方法には注意が必要です。 

たとえば7月1日に購入した土地を5年後の3月1日に売却した場合、売却した年の1月1日時点では所有期間が4年となります。

そのためこの場合は長期譲渡所得ではなく、短期譲渡所得の税額が適用されるので「1月1日」という起点を忘れないようにしましょう。

譲渡された側の不動産取得税について

不動産取得税とは、土地や住宅といった不動産を取得した者に対して課せられる税金のことを指します。不動産取得税は、購入だけではなく譲渡した場合も該当します。

不動産取得税の納付は、不動産を取得した際の一回だけです。

譲渡所得に関する税金の計算方法

譲渡所得に関する税金の計算方法

先に述べたように、土地を売却して譲渡益がある場合、所有期間に応じて譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税の計算は複雑なため、あらかじめ確認しておくと安心です。

課税譲渡所得の金額を計算する

まずは、以下のような方法で土地の売却で得た譲渡所得の金額を算出します。あわせて、それぞれの用語についても解説していきます。

譲渡所得に関する費用

取得費には、土地自体の金額だけでなく、購入する際にかかった以下のような費用が含まれます。

なお、古い物件で取得費が不明な場合は、譲渡収入金額に5%を乗じても算出できます。

取得費にかかる費用

次に、以下のような方法で課税対象となる「課税譲渡所得」の金額を算出します。

  • 課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除

課税譲渡所得は、すでに算出した譲渡所得から特別控除を差し引いて算出する仕組みです。

特別控除とは、たとえばマイホームを売却した際に利用できる「3,000万円特別控除」などを指しています。

譲渡所得税額を計算する

課税譲渡所得が算出できたら、以下のような方法で譲渡所得税額を計算します。

  • 譲渡所得税額=課税譲渡所得×税率、

すでに紹介したように、譲渡所得税の税率は、土地の所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分されます。それぞれの税率は、以下の通りです。

所得税には、復興特別所得税が含まれています。

区分 所得税(% 住民税(% 合計(%
短期譲渡所得 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 15.315% 5% 20.315%

このように、短期譲渡所得と長期譲渡所得では税率におよそ2倍の差があるため、所有期間が5年を超えてから譲渡した方が譲渡所得税は安くなります。

しかし、所有期間5年を超えるために、売り時を逃してしまわないように注意しましょう。

無償で土地譲渡した場合に課税される税金

無償で土地譲渡した場合に課税される税金

無償譲渡は「贈与」とみなされるため、贈与側と受贈側に以下のような税金がかかる場合があるので確認しておきましょう。

贈与側に課税される税金

土地の贈与側に課税される税金は複数あり、以下のようにそれぞれ要件が異なります。

  • 個人が法人に無償譲渡した場合:贈与側はみなし譲渡所得課税がかかる。
  • 法人が取引を行う場合:法人税法上、有償無償問わず資産は時価によって取引されたものとみなして課税所得を計算。
  • 法人が個人に無償譲渡した場合:贈与側は法人税がかかる。
  • 法人が法人に無償譲渡した場合:贈与側は法人税がかかる。

このように無償で土地を譲渡した場合も要件次第では税金がかかります。

受贈側に課税される税金

土地を無償で譲り受けた場合、以下のように贈与税や所得税などの対象となります。

  • 個人が個人に無償譲渡した場合:受贈側に贈与税がかかる。
  • 個人が法人、法人が法人に無償譲渡した場合:受贈側に法人税がかかる。
  • 法人が個人に無償譲渡した場合:受贈側に所得税がかかる。

このように、贈与側と受贈側の関係性によって課税される税金が異なります。  

土地譲渡の所得税を節税するためには

土地譲渡の所得税を節税するためには

ここまでで紹介してきたように、土地を譲渡する際には有償無償を問わず様々な税金が課せられます。

場合によっては高額になる可能性もあるため、以下のような方法を利用して節税対策することをおすすめします。

適用になる特例をもれなく利用

土地を譲渡する場合、制度によって要件は異なるものの以下のような様々な特例が利用できます。

3,000万円の特別控除の特例

マイホームとして利用していた土地を売却する際に利用できる制度で、譲渡所得から最高で3,000万円を差し引けるというものです。ただし、以下のような要件が設けられています。

3,000万円の特別控除の特例

これらの要件を満たしていない場合は、この特例は利用できません。

軽減税率の特例

軽減税率の特例は、所有期間が10年を超えている場合に譲渡所得税の税率が軽減できる制度です。

ただし、「3,000万円の特別控除の特例」の要件を満たしていることが前提となります。

税率は、以下のように課税譲渡所得の金額が6,000万円以下の部分に限って軽減される仕組みです。

  • 6,000万円以下の部分:税率14.21%

なお、6,000万円を超える部分については通常の20.315%の税率となります。

買換えの特例

住み替えや新居の購入でマイホームを買い換える場合、「3,000万円の特別控除の特例」の要件を満たした上で利用できます。

次に不動産を売却するまでの期間、納税が翌年以降、3年先延ばしできるというものです。

この制度を利用するためには、以下のような要件を満たしている必要があります。

  • 売却する土地と建物の所有期間が10年を超えていなければならない。

ただし、納税が先延ばしになるだけで減税されるというわけではないので注意が必要です。

損益通算の特例

土地を売却した場合、必ず利益が出るとは限りません。売却によって損失が出てしまうケースも考えられます。

このような場合、「損益通算の特例」を利用すると損益通算によって税金の還付が受けられます。 

これらの特例は要件を満たせばすべて利用できるわけではなく、「3,000万円特別控除の特例」と「買換え特例」など併用できないケースもあります。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

特例が併用できるかどうかは国税庁のホームページ等で確認できます。また、税務署の相談窓口でも相談できます。

取得費や譲渡費用はもれなく計上

譲渡所得税の税額は、課税対象となる課税譲渡所得の金額に応じて高くなります。

そのため譲渡所得を算出する際、取得費や譲渡費用を計上すると節税に繋がります。

取得費が不明な場合は、実際にかかった費用を計上できない可能性もありますが、すでに紹介したように譲渡収入金額に5%を乗じても算出できます。

これは一般財団法人日本不動産研究所による市街地価格指数にもとづくもので、あくまでも概算です。

最後に、相続した土地を譲渡する場合に利用できる特例を紹介します。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」で、相続税の一部を取得費に加算できるという制度です。

この特例を利用する場合は、以下のような要件を満たさなければなりません。

特例を利用するための要件

相続した不動産を売却した場合、その不動産に対して相続税と譲渡所得税との両方を課税されるのは大変なので、相続税分を取得費とみなして譲渡所得から差し引くということになります。

土地譲渡をする場合には専門家に相談しよう

土地譲渡をする場合には専門家に相談しよう

所有している土地の譲渡を検討する場合、どこに相談すればよいか悩む方も多いのではないでしょうか。土地を譲渡する場合、以下のような専門家に相談するとスムーズです。

土地譲渡に実績のある不動産会社を選ぶ

土地や住宅といった不動産の売却は、不動産会社に相談するのが一般的です。

しかし、土地を譲渡するなら土地の譲渡実績が豊富な不動産会社を選びましょう。

なぜなら、不動産会社によって得意分野とそうでない分野があるので、物件種別の取り扱い実績が異なるからです。

土地の譲渡実績が豊富な不動産会社なら、譲渡までスムーズな方法や節税方法もアドバイスしてもらえます。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

土地の譲渡実績が豊富な不動産会社を探すなら、一括査定サイトを利用するとよいでしょう。

一括査定サイトを利用すれば複数の不動産会社に一括査定を依頼できるだけでなく、各社から提示された査定額を比較できます。

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どのような不動産会社を選べばよいか迷うときは、「土地を売る」から検索すると土地の譲渡実績が豊富な不動産会社を見つけやすくなります。

土地の譲渡実績が豊富な不動産会社を見つけるなら、イエウールを利用してみましょう。

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土地の譲渡で課税される税金を把握しよう

土地の譲渡で課税される税金を把握しよう

土地の譲渡は売却だけでなく、贈与や公売など様々な方法が含まれています。

土地の譲渡では、有償無償にかかわらす必ず登録免許税や印紙税がかかり、また譲渡益が出ると譲渡所得税を納付しなければなりません。

しかし、要件を満たせば利用できる特例や控除もあります。利用できる特例などを積極的に利用して、不動産譲渡時の節税に繋げましょう。

黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。