相続した土地は放棄できる?土地を手放す3つの方法を解説

自宅から遠い場所にある土地を相続して、困っている人が増えています。自分が住まない家や土地の管理は、固定資産税や維持管理などが負担になります。できれば処分したいと考える人も多いのではないでしょうか。この記事では、処分したい土地をどうするかについて解説します。
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相続した土地は放棄できる?土地を手放す3つの方法を解説

自宅から遠い場所にある土地を相続して、困っている人が増えています。実家から離れた場所に自宅と仕事を持っている人が、実家に戻ることはあまり多くないかもしれません。

空き家になった建物や土地の管理は大きな負担になります。できれば処分したいと考える人も多いのではないでしょうか。

この記事では、処分したい土地をどうするかについて解説します。

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実家を相続した際に発生する義務

はじめに、実家の土地を相続した際にどのような義務が生じるのかについて説明します。

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相続税の支払い義務

相続が発生すると、まず必要になるのは相続税の支払いです。相続税は次のように求められます。

  • 相続税額=(全ての相続財産額―基礎控除額)×相続税率

相続する財産が5000万円だとした場合、相続税は「5000万円―基礎控除額」で算出します。

基礎控除額は、3000万円+600万円×相続人数で求められるので、相続するのが3人なら、5000万円―(3000万円+600万円×3人)=3800万円が相続税の課税対象です。

相続税の税率は課税対象額によって異なります。このケースの相続税額は、3800万円×20%=760万円となります。

相続税の支払いで日常生活に支障をきたしてしまうことあります。

そこで知っておきたいのが、小規模宅地の特例です。

小規模宅地の特例とは、土地の相続評価額を最大80%減額できる制度です。

一定の面積まで大幅に減税できるこの制度を活用すれば、相続税の負担は減らせます。

固定資産税の支払い義務

固定資産税は固定資産評価額をもとに算出され、毎年1月1日時点の所有者に課せられます。

土地や家屋が主な対象となっています。

固定資産税評価額とは、土地の公的価格や家屋の時価評価額をもとにして、市町村が算定します。

この額は3年に1度の間隔で見直しされ、その時点の地価や建物の価値に応じて評価額が決まります。

そのため、地価が安い時期や、地方などの地価が安いエリアは固定資産税も安くなる傾向があります。

また、山林など一定の評価額以下の不動産の場合には、固定資産税がかからない場合もあります。

建物の管理義務

「相続した地方の土地が空き家なら、固定資産税は大したことない」と思うかもしれません。

とくに、空き家でも土地の上に建物があれば、固定資産税は安くなるからです。

しかし、2015年5月に施行された「空家等対策特別措置法」で、その状況が変化しつつあります。

放置している空き家が、そのままにしておくと倒壊する危険性がある「特定空き家」に指定されると、固定資産税の優遇を受けられなくなったのです。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

特定空き家に指定されると固定資産税の優遇が受けられなくなるだけではありません。

行政の指導や勧告を無視し続けていると、強制的に取り壊しが行われ、その費用が空き家の所有者に請求されることになります。

相続する不動産によっては別途費用がかかることも

相続する不動産によっては、別途費用がかかるケースがあります。

マンションの場合は修繕積立金や管理費が必要

相続した実家がマンションだった場合には、修繕積立金や管理費がかかります。

修繕積立金は築年数の経過にともなって、値上がりするケースが大半です。

また、相続時点で住宅ローンが残っている場合は、マンションの所有権を相続するとともに、ローンも相続することになります。

この点については戸建ても同様です。

空き家の管理にはコストがかかる

空き家の管理には手間とコストがかかります。

土地を相続すると、相続税や固定資産税の支払いだけでなく家の管理責任も引き継ぐことになります。

空き家の管理を自分で行うのは、時間と手間の面で大きな負担になるでしょう。

自宅から離れた場所に空き家がある場合には、交通費も無視できません。

また、管理が不十分で、近隣に損害を生じさせた場合には損害賠償責任を負う必要もあります。

自分で空き家の管理をするのが難しい人は、空き家管理サービスを活用するという方法もあります。

管理費用は管理を委託する会社やプランによって様々で、一般的には月々5000~1万円程度といわれています。

場合によっては、さらにかかる場合もあるでしょう。

基本サービスは目視での点検や報告書のメール送付などで、通水や換気などはオプションで追加します。

自分で空き家の管理ができない人にとって、空き家の管理サービスは心強い存在です。

しかし、こうしたものを利用したとしても、家の老朽化や防犯リスクを完全に排除するのは難しいでしょう。

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土地を手放す(譲渡する)3つの方法と注意点

土地を相続してからうまれる様々な義務や負担を軽減するために「手放す」ことを考える人は多いのではないでしょうか。

ここでは、土地を手放す3つの方法とそれぞれの注意点を解説します。

土地を手放す(譲渡する)3つの方法

1.土地を寄付・譲渡する

1つ目は、寄付や無償で譲渡するという方法です。

手放したい土地が、避難場所や公園への転用が可能なら、国や自治体が寄付を受け付けてくれる可能性があります。

土地の寄付を受け付けてくれる可能性がありそうならば、土地のある自治体に問い合わせをして、寄付したい旨を伝えてみるのもよいかもしれません。

また、その土地をほしい人がいれば無償で譲渡することもできます。

個人が相手なら話し合いで、有償なのか無償なのか、有償ならいくらで売買するのかを決めましょう。

個人で買い手を探して譲渡するのは難しいものですが、人のネットワークがいまだ根強い地方では不動産会社を利用するよりも早く話がつくこともあります。

土地を寄付・譲渡するときの注意点

寄付や無償譲渡で土地を手放そうとする際には、土地の権利関係や場所等が記載されている登記事項証明書を用意しておきましょう。

登記事項証明書は、法務局の窓口や郵送、オンラインで請求し取得することができます。

オンラインでの請求は、窓口や郵送での交付請求に比べて手数料が安く、スムーズです。

ただし、土地の寄付は、必ずしも受け付けてくれるとは限りません。

自治体にとって他の用途に転用ができない土地は、受け付けてくれないと考えておいた方がよいでしょう。

2.土地の相続を放棄する

相続前であれば、土地の相続を放棄することが可能です。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の財産の相続権利をすべて放棄することです。

相続放棄の期限は、相続開始を知ったときから3ヶ月間となっています。

相続放棄をするには、必要書類を整えて裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があります。

相続放棄の手続きは自分で行うことも、弁護士に依頼することも可能です。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

自分で行う場合は、手続きの費用だけなので3,000~5,000円程度、司法書士に依頼した場合の費用は約3万円、弁護士に依頼した場合の費用は5万円以上かかります。

相続放棄のメリット

相続放棄は、プラスの財産、マイナスの財産のどちらの相続も放棄することになります。

そのため、財産全体を見た結果、マイナスの財産が多いときには相続放棄をすることで相続によって生じる損害を回避できます。

相続税や固定資産税の負担に比べて、土地の利用価値や資産価値が低いと考えられる場合や、相続問題に巻き込まれたくない場合には、相続放棄をするメリットは大きいといえます。

相続放棄のデメリット

一方、相続放棄を選択するべきか慎重に判断した方がよい場合もあります。

相続するプラスの財産の限度内でマイナスの遺産相続も承継するのですが、相続人のプラスの財産とマイナスの財産のバランスが不透明なときに、早急に相続放棄をしてしまうと、プラスの財産の方が上回っていた場合に相続人が損をしてしまうことになります。

それを回避するために、資産額に限定して相続する限定承認という方法がとられることがあります。

限定承認をするときの注意点

ただし、限定承認は法定相続人が複数いる場合、相続人全員が共同で行わなければならないとされています。

限定承認も相続放棄と同じように相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要がありますので、1人でも反対する人がいれば限定承認を行うことができません。

また、限定承認はプラスの財産が出たときにその部分を引き継ぐタイプの相続です。

プラスの財産でマイナスの財産を精算することになりますので、相続したい不動産がある場合には、プラスの不動産に相当する金銭を捻出できることが条件となります

なお、相続財産は使用した時点で相続を単純承認したものとみなされます。

限定承認すると、上述した小規模宅地等の特例を受けることができません。

相続財産の中に土地があれば、使わずに土地の価値を確認するようにしましょう。

3.土地を売却する

3つ目は売却するという方法です。

土地は持っているだけで固定資産税が発生し、維持管理も行わなければならないため、寄付、譲渡、相続放棄以外の方法として、売却も検討してみましょう。

土地を売却するときの注意点

売却の際に難しいのは、売出し価格の設定です。

寄付も考えているくらいなら、売出し価格は相当低くてもよいかもしれません。

しかし、この場合は不動産会社が受け取る仲介手数料も低くなります。

仲介手数料の小ささは、不動産会社のモチベーションを削ぐ原因になります。

これについては、2018年に制度改正が行われました。

需要が低い田舎の土地で、取引額が400万円以下の物件に関しては、不動産会社が仲介手数料に加えて、現地調査などの費用相当額を受領できるようになったのです。

費用相当額の合計は18万円を超えないものとされていますが、売り主にとっては負担が増えたと感じられるかもしれません。

しかし、この改正で土地が売れる可能性は高まったといえるでしょう。

仮に売却して100万円にしかならない土地なら、不動産会社の得られる仲介手数料は5万円です。

今後は少なくとも18万円は受け取れることになったため、これまでに比べると不動産会社のモチベーションもアップし、積極的に売却活動をしてくれる期待が持てます。

住宅街で人気のエリアであれば、建物を解体して更地にすることも検討してみましょう。

この場合は、地元の建売業者に土地の買取を依頼してみるという方法もあります。

売却と並行して、空き家バンクへの登録もおすすめです。

空き家バンクに登録すると、土地のある自治体やNPO法人などが運営するサイトに物件情報が登録されます。

空き家バンクは他の土地からの移住を希望する人しか利用できないサービスですが、一般の不動産を求めている人とは異なる層の人が情報を得ることができます。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

更地にして売却しようとする際には、いつ取り壊すのかに注意する必要があります。

更地のまま1月1日を迎えてしまうと、建物が建っていたことで受けられていた固定資産税の優遇措置が受けられなくなる恐れがあるからです。

相続した土地の所有権は放棄できない

相続した土地の所有権は放棄できない

寄付や売却ができない土地を相続してしまった人の中には、所有権を放棄してしまいたいと考える人も多いのではないでしょうか。

しかし、残念ながら一度相続してしまった土地の所有権を放棄する手続きはありません。

民法第239条には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」と記載されているため、土地の所有権を放棄した場合、所有権のない不動産は国のものに国に引き取ってもらえるとの見方もできます。

しかし、実際に国が引き取るための方法はありません。

現状、一度相続してしまった土地は寄付か売却以外に手放す方法はないといえます。

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相続前に土地の相続を放棄しても管理責任はなくならない

相続が発生したときに相続放棄の手続きをすれば、土地の所有から免れることができるのではないか、と考える人もいることでしょう。

しかし、相続放棄しても土地の名義は放棄した被相続人のままです。

固定資産税を納める必要はなくなりますが、土地を管理する義務は残ります。

「登記の変更をしなければよいのでは?」と思うかもしれませんが、登記はあくまでも名義の問題です。

相続開始時に相続人が財産を承継している事実に変わりません。

全国的に問題になっている地方の空き家は、相続の放棄から発生している場合が多くなっています。

その結果、相続人が管理しきれなくなり、各地で空き家が放置されることにつながっています。

こうした問題を受けて、国では相続登記義務化の動きが始まっています。

いつ法案が可決され、施行されるかは未定ですが、登記の変更をしないとペナルティが課せられることになるのはそう遠くないと考えておきましょう。

管理責任を逃れるには

相続した土地の管理責任を免れるには、自分以外に管理してくれる人を探さなければなりません。

相続財産管理人は土地や建物の管理と債権回収をするのが仕事です。

価値のある不動産を売却して換金したり、衣類や家財道具などは家庭裁判所の許可を得て廃棄します。

すべての業務が終了して、さらに財産が残っている場合には余った財産を国庫に帰属させる手続きをします。

しかし、事情を知っている知人や親族が引き受けてくれる可能性は低いので、最終的には家庭裁判所に「相続財産管理人の選定」の申し立てをすることになるでしょう。

ただし、相続財産管理人にとってもその財産を管理するメリットがなければ、好き好んで管理することは通常ありえないでしょう。

たとえば、あなたが相続財産管理人に何らかの債務を負っているなどです。

申し立てをしても、相続財産管理人が現れるケースはほとんどないと考えられます。

相続放棄で土地の責任から完全に逃れるのは非常に困難と認識しておきましょう。

寄付・放棄・売却以外の方法

土地を手放せない場合は、土地を活用することも視野にいれるとよいかもしれません。

土地を活用して収益化を目指す

土地を持ち続ける以外に方法がない場合には、少しでも収入が発生する状態にできないか考えてみましょう。

土地を持ち続けることは、必ずしも悪いことばかりとは限りません。土地を活用し事業化することで、損益通算が可能になるので勤めている人にとっては節税になることもあります。

代表的な土地活用の方法

近年人気の土地活用方法

代表的な土地活用の方法は、賃貸住宅の経営です。

また、近年は駐車場やトランクルーム、コンビニ、コインランドリーの経営なども人気があります。

とくに駐車場やトランクルームは、賃貸住宅やコンビニなどの経営と比べると大きな設備投資や手入れを必要としないため、「比較的始めやすい」、「やめたい場合もすぐに対応できる」などの理由でメリットのある活用方法といえます。

たとえば、住宅地の中心部なら月極駐車場やコインランドリー、病院や商業施設の近くではコインパーキングやコンビニの需要を見込めるでしょう。

駐車場経営については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。合わせて読んでみてください。


ただし、土地の活用の際、立地と周辺環境は重要なポイントです。

他の用途に簡単に転用できる場所は、売却できるケースが多く、人の往来が少ない場所では難しいかもしれません。

なお、土地の活用を考えるときには、そのエリアで土地の利用を規制する法律がないか事前にチェックしておくのも大切です。

土地・不動産の相続は早めに専門家に相談を

相続財産に不動産が含まれている場合には、相続するべきか放棄するべきかの判断が難しいです。

空き家の相続は、相続人の状況や近隣住民、自治体など様々な利害関係者が絡んでいるケースが多く、また、相続を放棄しても管理責任が残ってしまいます。

昨今、田舎の空き家や空き地については、問題意識を持っている自治体も増えています。

地域資源を活用し地域活性を図るなど、行政の取り組みとともに、土地の有効利用をしている人も少なくありません。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

いずれにしても、土地の相続は多くの人が頭を悩ませている問題です。

相続した土地をどうすればよいのか悩んだときは、早めに専門家や行政の窓口に相談することをおすすめします。

黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。

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