任意売却の流れと注意点|事前に確認しておきたいことや必要書類を解説

不動産には任意売却という売却方法があり、これは住宅ローンを滞納し、返済できない場合に行います。任意売却を成功させるには、事前に売却の流れや注意点を知っておくことが大切です。細かいポイントを押さえて、任意売却の成功を目指しましょう。
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任意売却の流れと注意点|事前に確認しておきたいことや必要書類を解説

住宅ローンを滞納してしまった場合は、ローン契約先の金融機関により抵当権が行使されて、競売にかけられることがあります。

しかし、競売の前に、自身で任意売却を目指すことも可能です。

任意売却ではローンの完済はできませんが、抵当権を抹消せずに売却ができるため、ローン残債を減らせます。

任意売却についての理解を深め、少しでも好条件で売却して、ローン支払いの負担を減らしましょう。

この記事の監修者

黄 威翔/宅地建物取引士

黄 威翔/宅地建物取引士

台湾出身。日本で不動産業と出会い、一年目で宅地建物取引士を取得。 地方の不動産会社に長年勤務し、日本全国の中古不動産の売買仲介を担当。  日本の方はもちろん、外国の方の対応経験も豊富で様々な視点から日本の不動産市場をご紹介しています。

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任意売却はすぐにはできない

パソコンを見る女性

まず知っておきたいのは、ローンを滞納しているからといって、すぐに任意売却ができるとは限らないということです。

競売よりも任意売却のほうが売却価格は高くなるため、早めに任意売却をして手放したいという人は多いでしょう。

しかし、任意売却が可能なのは、次の条件を満たす場合のみです。

  • 債権者の合意を得ている
  • 税の滞納等で物件が差し押さえられていない
  • 売却活動時間が十分に確保されている
  • 市場価値のある物件である
  • 共有者の同意
  • 連帯保証人の同意
  • 一定額以上の管理費・修繕積立金の滞納がない

債権者とはローン先の金融機関のことであり、まずはここから合意を得なければなりません。

また、税金の滞納などによって、物件の差し押さえがされている場合も、任意売却はできないため注意しましょう。

他にも売却活動をするだけの時間の余裕があることや、該当する物件に市場価値がある、共有者や連帯保証人の同意が必要である点もあげられます。

マンションの場合は管理費や修繕積立費など、一定以上滞納していないことも条件になるため、まずはこれらを満たしているかを確認しておきましょう。

任意売却をする前に確認しておく3つのこと

任意売却をする前に確認する3つのこと

任意売却を行うなら、事前に次の3つのことを確認しておきましょう。

  • 任意売却のタイミング
  • 任意売却が可能な期間
  • 任意売却の期限

これらのポイントをチェックしておくことで、よりスムーズかつ失敗なく任意売却を行いやすくなります。

任意売却のタイミング

住宅ローンを滞納したからといって、すぐに任意売却が必要なわけではないため、いつ任意売却を行うのか、このタイミングを考えておきましょう。

住宅ローンを滞納した場合は、まずは金融機関に月々の返済額を減らしてもらう、利息分の支払いのタイミングをずらしてもらうなど、相談してみることがおすすめです。

支払いのスケジュールを変更してもらうことで、無理なく返済できるようになり、滞納分も問題なく返せる場合もあるかもしれません。

相談しても支払いスケジュールの変更に対応してもらえない、あるいはそれでも滞納してしまう場合に、任意売却を検討しましょう。

任意売却が可能な期間

任意売却は、各種条件を満たし、かつ住宅ローンを滞納している場合に行えます。

しかし、売却可能な期間は決まっており、金融機関が競売を開始し、開札期日を迎えるまでが任意売却を行える期限です。

よって、住宅ローンの滞納で、金融機関から担保となっている不動産を競売にかけるという通知が来た時点ではまだ任意売却は行えます。

その際は競売の開札が始まる前日までに、金融機関に相談しておくとよいでしょう。

任意売却の期限

任意売却には期限が定められていますが、詳細な期間は金融機関によって異なります。

一般的には3ヶ月から半年程度が多く、この間に金融機関と交渉した金額での売却を目指しましょう。

金融機関から定められた期限をすぎても売れなかった場合は、競売にかけられてしまうため注意が必要です。

通常の不動産売却なら、自分が納得いくまで長期にわたって売却活動を行えますが、任意売却は期限が決められているため、スケジュールを確認しながら売却活動を行わなければなりません。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

住宅ローンの返済が滞って任意売却を検討するような場合は、まず、借り入れをしている金融機関に返済についての相談をしてみることをおすすめします。 相談しにくいからといって、躊躇したまま放っておかないようにしましょう。

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任意売却の流れ

任意売却の流れ

スムーズに任意売却を行うためにも、どのような流れで任意売却が実施されるのかを把握しておきましょう。

  1. 任意売却専門業者への相談する
  2. 債権者に任意売却をすることを伝える
  3. 査定とスケジュールの打ち合わせ
  4. 専任媒介契約の締結する
  5. 販売開始し購入者を決定
  6. 債権者の同意を得る
  7. 売買契約の締結と引渡しおよび代金決済

全体像を把握しておくことで、より失敗なく任意売却を終えられます。

任意売却専門業者へ相談する

不動産を売却する際には、不動産会社を利用することが一般的ですが、任意売却の場合は任意売却の専門業者を利用します。

まずは専門業者に任意売却の相談をして、どのように今後の売却スケジュールを決めるのかを確認しておきましょう。

業者に相談する際には、次の点を伝えておくと、より対応がスムーズになります。

  • 物件の種別(マンションか戸建かなど)
  • 物件の所在地
  • ローン先の金融機関名
  • 現在のローン残債
  • ローンの滞納状況
  • 自身の経済能力
  • 現在の生活状況

これらについて詳細まで伝えておくことで、専門業者も任意売却のプランを考えやすくなります。

情報が少ないと、物件や自身の状況に合ったプランを提示してもらえない可能性があるため、相談時には細部まで包み隠さず伝えるようにしておきましょう。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

また、物件購入時の書類一式も提出する必要があるため、売買契約書や重要事項説明書などの書類も、事前に集めておくことが大切です。

債権者に任意売却をすることを伝える

専門業者に相談した後は、債権者に任意売却したい旨を伝えます。

債権者はローン先の金融機関や銀行などであり、これらに相談して任意売却が可能かどうかを聞きましょう。

任意売却を行うには様々な条件を満たさなければならず、債権者からの同意は条件の1つです。

そのため、専門業者に売却プランを組んでもらったからといって、勝手に任意売却ができるわけではないため、必ず事前に債権者に連絡しておきましょう。

債権者への連絡は早いほうがよく、住宅ローンを滞納したままいつまでも任意売却の相談をしないと、競売手続きを開始されてしまいます。

競売にかける旨の通知があってからでは、任意売却にかけられる期間が短くなってしまうことも多いです。

そのため、余裕を持って売却活動に臨むためにも、債権者には素早く相談して、早めに同意をもらえるようにしておきましょう。

査定とスケジュールの打ち合わせ

債権者からの同意を得たなら、専門業者に再度連絡して、物件の査定をしてもらいます。

査定によってどれくらいで売却できるかを提示してもらい、その金額をもとに詳細な売却プランの組み立てやスケジュールの打ち合わせなどを行います。

任意売却の場合は、査定価格は近隣の物件相場と同程度になることが多く、競売ほど売却価格は下がりません。

そのため、物件の状態によっては高値で売れることもあり、ローンも返済しやすくなるでしょう。

専任媒介契約の締結する

専門業者に売却活動を行ってもらうには、媒介契約を締結する必要があります。

媒介契約には一般媒介と専任媒介、専属専任媒介の3つがありますが、任意売却なら専任媒介か専属専任媒介契約のどちらかがおすすめでしょう。

それぞれの違いは次の通りです。

媒介契約の種類 特徴
一般媒介契約
  • 複数社と媒介契約を結べる
  • 自分でも買主を探せる
  • レインズへの登録義務がない
専任媒介契約
  • 契約できるのは1社のみ
  • 自分でも買主を探せる
  • レインズへの登録義務がある
  • 業者は最低2週間に1回以上活動報告を行う
専属専任媒介契約
  • 契約できるのは1社のみ
  • 自分では買主を探せない
  • レインズへの登録義務がある
  • 業者は最低1週間に1回以上活動報告を行う

一般媒介契約とその他の契約の違いとしては、レインズへの登録義務の有無があげられます。

レインズは不動産流通機構によって運営されているシステムであり、ここに物件情報を登録することで、より多くの買主を募ることができ、好条件でも売却しやすくなります。

つまり、一般媒介契約とその他では、物件情報の公開力や宣伝力が違うことになり、短期間での売却になる任意売却では、任媒介か専属専任媒介契約を結んだほうがよいでしょう。

媒介契約を締結した後は、債権者に対して販売価格や売却の期間、売却にかかる費用はどちらが持つかなどの交渉を行い、合意が得られ次第売却活動がスタートします。

専任媒介契約については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。合わせて読んでみてください。

黄 威翔/宅地建物取引士
黄 威翔/宅地建物取引士

業者によっては専属専任媒介や専任媒介契約でなければ、任意売却を行ってもらえないこともあるため、この点も頭に入れておきましょう。

販売開始し購入者を決定

売却活動をスタートさせた後は、購入希望者が現れるまで待ちます。

買主を募るために、専門業者は宣伝広告を行います。

宣伝の方法は様々であり、レインズへの登録や不動産ポータルサイトへの登録、新聞やチラシなどへの物件情報の掲載などです。

購入希望者が見つかり次第、内覧を行い、各種条件を交渉して売買契約を結びます。

任意売却の場合は、条件を交渉した後に買付証明書を作成してもらい、債権者への提出が必要です。

売却価格や条件などを買付証明書にて確認してもらい、債権者からの承諾を得られると購入希望者が決定します。

債権者の同意を得る

買付証明書を提出して売却の承諾を得た後は、債権者にさらに購入申し込み書や売買代金配分表を提出しなければなりません。

これらを提出し、詳細な内容で同意が得られた場合のみ、売却が可能になることを理解しておきましょう。

つまり、購入者が決定した場合でも、最終的に債権者の同意が得られないと売却はできません。

通常の不動産売却と違い、任意売却には制限が多いため、時間に余裕を持って売却活動を行うことが大切です。

売買契約の締結と引渡しおよび代金決済

購入希望者と売買契約を締結した後は、物件の引渡しと代金の決済を行います。

売買契約を締結した後に、引渡しと決済の日程を決めますが、これは契約締結時から約1ヶ月後となることが多いです。

基本的には引渡しと決済は同日に行いますが、契約で引渡し後に決済と時期をずらすことも可能です。

ただし、任意売却の場合は少しでも早く資金を手に入れる必要があるため、引渡しと決済は同日に定めておいたほうがよいでしょう。

売買契約締結時には手付金として売却価格の数%を受領し、決済日に残りの金額を受け取ります。

その後債務の返済や売却にかかった費用の返済、抵当権の解除の手続きなどが必要です。

また、住居を手放す場合は新居への引っ越しが必要であり、これは引渡しまでに済ませておかなければなりません。

引っ越し代でも数万円から高いと20万円程度かかるため、このコストも頭に入れておきましょう。

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任意売却に必要な書類

任意売却に必要な書類

任意売却の手続きには様々な書類が必要であり、数が多いため早めに準備を進めておきましょう。

  • 登記識別情報(または「登記済権利証」の写し)
  • 身分証明書のコピー
  • 物件購入時における不動産売買契約書、および重要事項説明書
  • 建築確認申請書写し
  • 間取図
  • 購入時のパンフレット
  • 固定資産評価証明書
  • 固定資産税納付書のコピー
  • 物件の写真
  • 住宅ローン借入時の債権者との金銭消費貸借契約書
  • 保証委託契約書
  • 競売開始決定通知書・督促状等
  • 印鑑登録証明書

これらの書類に加えて、マンションの場合は管理規約書や管理費と修繕積立金の明細などが必要です。

書類を紛失している場合は専門業者や金融機関に相談して、再発行などで対応してもらいましょう。

任意売却をするときの4つの注意点

任意売却をするときの4つの注意点

任意売却で失敗しないためには、次の注意点を把握しておく必要があります。

  • できるだけ早く専門業者に相談する
  • 任意売却でも売却できないこともある
  • ブラックリストに載り社会的信用が下がる
  • 悪徳業者に注意

これら4つのポイントを理解して、任意売却のスムーズな成功を目指しましょう。

できるだけ早く専門業者に相談する

売却期限が短く設定される任意売却では、早期に専門業者に相談することが大切です。

いつまでも相談せずに放置していると、競売にかけられてしまい、任意売却そのものができなくなってしまう可能性があります。

また、売却活動のスタートが遅いと、任意売却ができる期間も限定されてしまい、債権者が求める条件で売却できない可能性もあります。

任意売却は不動産会社ではなく、任意売却専門業者や任意売却相談センターに相談し、余裕を持ったスケジュールで売却に臨めるようにしましょう。

任意売却でも売却できないこともある

任意売却を開始したからといって、必ずしも売れるとは限りません。

提示している条件や市場の需要次第では、定められた期限内に売却できない場合もあることは理解しておきましょう。

債権者が定める期間内に売却できなかった場合は、競売にかけられる可能性が高くなります。

また、競売でもすぐに売れるとは限らず、売れ残るとさらに条件が悪くなり、売却価格は下がります。

競売にかけられると売却価格が下がって、家を手放してもローンの残債が多く残ってしまいます。

そのため、できるだけ負担を少なくするには任意売却を早めに行い、無理のない条件で売れるように売却プランは専門業者と綿密に相談して決めましょう。

ブラックリストに載り社会的信用が下がる

任意売却をした場合は、金融機関のブラックリストに載ってしまい、社会的な信用が下がってしまう危険性があります。

ブラックリストに載ってしまうと、今後ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできなくなってしまいます。

そのため、任意売却はどうしてもローンが返済できない場合の最終手段と考え、まずは支払いのリスケジュールや通常の不動産売却によって、ローンを返済できるようにプランを組むことが大切です。

また、任意売却をしなくても、住宅ローンの滞納期間が3ヶ月以上になると、ブラックリストに載ってしまう可能性があります。

一度ブラックリストに載ると、今後の生活に支障をきたす可能性があるため、この点には特に注意しなければなりません。

悪徳業者に注意

任意売却を依頼する際には、利用する業者にも注意が必要です。

悪徳業者に任意売却を依頼してしまうと、売却条件が悪くなったり、通常かからない費用を請求されたりして、損失が出てしまうこともあります。

業者によっては引っ越し代の負担といった魅力的な宣伝文句を掲載していることもありますが、悪徳業者の可能性があるため注意しましょう。

業者を選ぶ際には複数社に話を聞き、それぞれの提示する条件や担当者の対応などを比較して決めることがおすすめです。

任意売却ではさまざまな手続きが必要になる

任意売却ではさまざまな手続きが必要になる

住宅ローンの返済が難しくなった場合に行う任意売却は、通常の不動産売却とは違って様々な手続きが必要です。

また、売却期間も短く設定されることが多いため、早めに準備を進めて売却活動を開始することが大切です。

任意売却ができないと競売にかけられてしまい、より低い条件で物件を手放すことになります。

少しでも好条件で売却するためにも、早めの準備で余裕を持って行動し、任意売却を成功させましょう。

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黄威翔 / 宅地建物取引士
黄威翔 / 宅地建物取引士

不動産会社に長年勤務し、不動産売却の国家資格「宅地建物取引士」を取得。中古不動産の売買仲介に関わり、日本全国の売主のお客様から貴重な財産を預かっています。専門家の視点から不動産売却の知識をわかりやすく解説します。