廃車する時に知っておきたい預託金とは?概要や内訳、計上方法を解説

車を購入する際、「リサイクル預託金」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。車を持つ人は必ず支払わなければならない料金です。では、リサイクル預託金は何のためにあるのでしょうか。今回は、車の購入や廃車に関わるリサイクル預託金について詳しく解説します。

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廃車する時に知っておきたい預託金とは?概要や内訳、計上方法を解説

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車を購入すると、廃車時にかかるリサイクル費用を支払う必要があります。これを「リサイクル預託金」と呼びます。

新車・中古車にかかわらず、必ず支払わなければなりません。

車を売却するときは、査定額だけでなくリサイクル預託金もチェックしましょう。

どのような仕組みなのかを理解できていないと、取引で損をする可能性があります。

この記事では、リサイクル預託金の概要と内訳、そして複雑といわれる会計計上の方法について解説します。

これから車の売却や廃車を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

※相場情報は実際の買取価格と異なる可能性がございます。

リサイクル預託金とは

リサイクル預託金とは

「リサイクル預託金」とは、自動車を廃棄するときに必要となるリサイクル費用のことです。

車を購入する段階で、本体価格とともに支払うことが義務付けられています。

新車・中古車のどちらを買う場合も支払わなければなりません。

廃車にするのに、どうしてリサイクル費用がかかるのか疑問に思われる方もいるでしょう。

廃棄する車を解体業車に渡すと、その車はプレスにかけられてスクラップになりますが、すべてがゴミになるわけではありません。

驚くべきことに、自動車全体の約90%は再利用できるのです。

例えば金属やゴムは原材料に、ガラスは舗装材に、ウレタン繊維は熱エネルギーとして活用されます。

もしもスクラップした残骸をすべてゴミとして廃棄してしまうと、土壌や地下水、生態系などに悪影響を及ぼします。

このような環境問題に対応するべく、2005年に「自動車リサイクル法」が施行されました。

この中で預託金の制度が定められ、自動車メーカーおよび関連業者にも、環境に配慮して自動車を処理することが義務付けられたのです。

預託金が徴収されるようになった背景には、深刻な環境問題やゴミ処理問題がありました。

リサイクル預託金は何に使われるのか

リサイクル預託金は、国が指定する資金管理法人「公益財団法人 自動車リサイクル促進センター(以下、自動車リサイクル促進センター)」に預けられ、廃棄されるまで厳重に管理されます。

車の使用者が支払った預託金は主に、別の材料に生まれ変わるパーツや、処理に手間暇のかかるエアバッグ・フロンガスなどの処理に使われています。

リサイクル預託金の種類

リサイクル預託金の種類

リサイクル預託金は、「リサイクルに関わる費用」と「自動車リサイクルシステムを運営するための費用」で構成されています。

それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。

リサイクルに関わる費用

リサイクルに関わる費用には、以下の3つがあります。

  • シュレッダーダスト料金:自動車を解体あるいは破砕したときに出る「シュレッダーダスト」と呼ばれるゴミのリサイクルにかかるお金です。
  • エアバッグ類料金:エアバッグおよびシートベルトプリテンショナー(衝突時にシートベルトを巻き取り、拘束性を高める装置)の回収とリサイクルにかかるお金です。
  • フロン類料金:エアコンに充填されるフロン類の回収と破壊にかかるお金です。

上記3品目は、自動車メーカーや輸入業者などが引き取って再利用します。

なお、並行輸入車など料金の設定主体がない場合は、自動車リサイクル促進センターが並行輸入業者などの申請に基づいて料金を定めます。

自動車リサイクルシステムを運営するための費用

自動車リサイクルシステムを運営するための費用は、以下の2つがあります。

  • 情報管理料金:リサイクルの工程に回った自動車の状況を、システム上で管理するためにかかる料金です。
  • 資金管理料金:リサイクル料金の収納や管理、運用にかかる料金です。

リサイクル預託金の金額

リサイクル預託金の金額

リサイクル料金は、車に使用されている素材によって決められます。おおよその金額は以下の通りです。

  • 軽または小型乗用車(エアバッグ類4個、エアコンあり):7,000円~16,000円程度
  • 普通乗用車(エアバッグ類4個、エアコンあり):10,000円~18,000円程度
  • 中または大型トラック(エアバッグ類2個、エアコンあり):10,000円~16,000円程度
  • 大型バス(エアバッグ類2個、エアコンあり):40,000円~65,000円程度

参考:自動車リサイクル法とは:5.リサイクル料金っていくらかかるの?|経済産業省

上記料金とは別に、情報管理料金130円と資金管理料金290円(新車購入時)または410円(使用済自動車引取時)を支払います。

正確な金額を知りたい場合は、各自動車メーカーが公開している車種別のリサイクル料を参照してください。

買取を依頼する業者に問い合わせてみてもよいでしょう。

なお、以下の車両は自動車リサイクル法の対象外のため、預託金を支払う必要はありません。

  • 二輪車(原動機付自転車や側車付きのものを含む)
  • 被けん引車(キャンピングトレーラーなど)
  • 小型特殊自動車
  • 大型特殊自動車
  • 農業および林業機械など

リサイクル預託金は戻ってくるのか

リサイクル預託金は、文字通り一時的に預ける形で徴収されます。

廃車時の処理費用として使われますが、それまではあくまで預けているだけの状態です。

では、このお金はいつ返ってくるのでしょうか。

廃車にしない限り戻ってくる

車を中古車として売却するのであれば、納めた預託金は返金されます。

次にその車を購入する人が再び支払うという仕組みで、廃車にするまではこのサイクルが繰り返されます。

したがって預託金を実質的に負担するのは、車の最終使用者、つまり車が廃車となる時点での所有者です。

車を売るのであれば最終使用者にならないため、預託金は必ず戻ってきます。

リサイクル料金を納めた自動車を海外に輸出した場合でも、輸出日から2年以内に所定の手続きを行えば、預託金は返金されます。

参考:自動車を海外に持ち出したとき|公益財団法人 自動車リサイクル促進センター

リサイクル預託金の返金方法

買取業者に車を売ると、次の使用者から預託金に相当する金額を受け取れます。

しかし、この金額が査定額に含まれる場合と含まれない場合があるため、注意が必要です。

例えば査定額が50万円だったと仮定すると、「査定額49万円+預託金相当額1万円=50万円」と「査定額50万円+預託金相当額1万円=51万円」では少なからず差が生じます。

車種によっては数万円の開きが出ることもあり、場合によっては損をする可能性も出てきます。

返金方法は買取業者によって異なるため、事前にお店に確認を取りましょう。

悪質な業者になると、顧客に黙って返すべきお金を着服するといったケースも見られます。

預託金がきちんと計上されているかどうか、提示された査定額の内訳までしっかり目を通しておきしましょう。

自動車リサイクル券との関係

自動車リサイクル券との関係

新車・中古車にかかわらず、車を購入すると「自動車リサイクル券(以下、リサイクル券)」を受け取ります。

リサイクル預託金とも大きく関係しているため、どういったものか理解しておきましょう。

自動車リサイクル券とは

リサイクル券は、リサイクル預託金を納めた証明書となるものです。

書面そのものは1枚ですが、以下の4つから構成されています。

  • 預託証明書(リサイクル券):リサイクル料金を支払ったことを証明するものです。
  • 使用済自動車引取証明書:廃車時に引取業者が必要事項を記入し、最終使用者に渡すものです。
  • 資産管理料金受領書:リサイクル料金が預託されたことを証明するものです。
  • 料金通知書兼発行者控:車の使用者に、リサイクル料金の合計金額を知らせるときに使用します。

車を中古車として売却する場合、車検証とともにリサイクル券を提出することで、預託金が返金されます。

特に預託証明書と使用済自動車引取証明書が重要です。車検証と一緒に大切に管理しましょう。

車内のグローブボックスなどに入れておくと安心です。

リサイクル券を紛失したら

リサイクル預託金を返金してもらうには、リサイクル券を提出する必要があると述べました。

では、もし失くしてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

リサイクル券は再発行できませんが、預託金を支払ったという履歴自体はシステム上にきちんと残っています。

自動車リサイクルシステムのサイトで車両区分を選択して、車台番号を入力すると、自分の車の預託状況を照会できる仕組みです。

このページを印刷すれば、リサイクル券の代用として使えます。

リサイクル預託金の会計処理および消費税

リサイクル預託金の会計処理および消費税

リサイクル預託金は仕組みが複雑なため、社用車などでは会計時の処理に迷ってしまう方もいるでしょう。

消費税の取り扱いについても特殊です。

ここでは、車の購入時・売却時・廃車時に分けて、預託金の仕訳方法や消費税の処理方法を確認していきます。

車を購入するとき

新しく車を購入すると、本体代金と一緒にリサイクル預託金を納めます。

この段階ではまだ返金される可能性があるため、一旦は資産計上することになります。

したがって勘定科目は、預託金や保証金などを用います。

ただし資金管理料に関しては、支払手数料の科目で計上しましょう。

資金管理料のみ課税仕入れとなり、それ以外の項目は非課税売上に計上します。

車を売却するとき

中古車として車を売ったときは、リサイクル預託金が返ってきます。

預託金・保証金などの科目を減少させましょう。

購入時に納めたリサイクル預託金は、非課税売上に計上されます。

車を廃車するとき

廃車にすると所定のリサイクル費用がかかり、これらはリサイクル預託金から賄われます。

預けていたお金が実際に使われるため、ここで預託金を支払手数料に振り替えましょう。

ここにきて初めて「廃棄処分サービス費用」として活用されるため、課税仕入れに計上できるようになります。

廃車買取なら「ハイシャル」がおすすめ

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廃車の処分に困っているなら、廃車買取サイト「ハイシャル」がおすすめです。

こちらは廃車の買取を専門とする業者で、事故車や動かない車も買取ってくれます。

必要な手続きはハイシャルが代行してくれるうえ、レッカー代や書類代行費用などもすべて無料です。

車検切れやローン未完済でも問題ありません。

万が一リサイクル料金が未払いでも、ハイシャルで立て替えてもらえるため安心です(買取価格がある場合は相殺)。

「廃車は売れないだろう」と諦めていた方は、ぜひ一度ハイシャルに相談してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

リサイクル預託金は、廃車時に必要となるリサイクル料金を先払いするものです。

したがって、車を中古車として売却する場合は返金されます。

車を下取りに出す際は、リサイクル券やリサイクル料金の預託状況の書類を用意しましょう。

返金方法についても、あらかじめ業者に確認してください。

リサイクル預託金は複雑ですが、仕組みや内訳を知っておけば、車の売却時や会計処理の際に役立ちます。

車をお持ちの方は、しっかりと理解しておきましょう。

これから具体的に廃車買取サービス利用を検討している方は、廃車買取業者や廃車に関するメリットをまとめたこちらの記事を読んでみてください。

sirasaka / 編集長
sirasaka / 編集長

弊社マーケットエンタープライズが運営する総合買取サービス「高く売れるドットコム」にて査定業務や出張買取などに携わり、現場で培ったリアルな知見を活かし「満足できる買取体験」を提供すべく買取メディアの運用も行っています。 利用者様の買取にまつわる疑問を解決できる有益な発信のため、日々精進してまいります! リユース営業士資格保有(日本リユース業協会より授与)

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